概要
あの夏に置き去りにした手紙を、もう一度あなたへ
午前二時から二時半までの三十分だけ開く、町はずれの古い郵便局。そこで働く「私」は、六年前に亡くなった祖母へ宛てた手紙を、いまだに出せずにいた。ある夜、差出人も消印もない灰色の封筒が届く。中に記されていたのは、祖母の筆跡による一行の問いかけだった。「まだ、あの夏のことを覚えていますか」。幻の川と古井戸に導かれた主人公は、祖母が隠していた記憶と、自分が本当に伝えたかった言葉に向き合っていく。失った人への想いと、言えなかった言葉をめぐる、静かで余韻の残る幻想譚。
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