概要
「槍のほかに何ができるんだ」そう言った副団長が、竜の前で膝をついた。
四十二で、北門の門番をクビになった。
二十二年勤めて、退職金は銀貨三十枚と山小屋ひとつ。
その小屋へ、嵐の晩に大きな卵が流れてきた。
孵ったのは、両手に乗るほどの竜の子。名前はマメ。
指で乳を飲ませ、夜泣きには兵舎の歌を鼻歌で聞かせる。
ある夕方、マメが俺を見上げて「とう」と鳴いた。
ところが竜の群れでは、雛の親が一番偉いらしい。
マメが坂で五歩浮けば、尾根の竜十一頭が揃って首を下げる。
国の書記官は、竜との取り次ぎを頼みに来ては頭を下げる。
竜捕りが担いできた網は、河原で焼かれた。
俺をクビにした騎士団からは、団長が真っ青な顔で詫びに来た。
誰が来ても、うちはマメの練習が先だ。
「悪いが、あとにしてくれ。うちの子が今日、初めて空を飛ぶんだ」
国が長い肩書きを三つ持ってきても、俺は『マ
二十二年勤めて、退職金は銀貨三十枚と山小屋ひとつ。
その小屋へ、嵐の晩に大きな卵が流れてきた。
孵ったのは、両手に乗るほどの竜の子。名前はマメ。
指で乳を飲ませ、夜泣きには兵舎の歌を鼻歌で聞かせる。
ある夕方、マメが俺を見上げて「とう」と鳴いた。
ところが竜の群れでは、雛の親が一番偉いらしい。
マメが坂で五歩浮けば、尾根の竜十一頭が揃って首を下げる。
国の書記官は、竜との取り次ぎを頼みに来ては頭を下げる。
竜捕りが担いできた網は、河原で焼かれた。
俺をクビにした騎士団からは、団長が真っ青な顔で詫びに来た。
誰が来ても、うちはマメの練習が先だ。
「悪いが、あとにしてくれ。うちの子が今日、初めて空を飛ぶんだ」
国が長い肩書きを三つ持ってきても、俺は『マ
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