概要
敵は彼女だけを追う。水着みたいな飛行服の理由は、誰も教えない
二〇二六年、オーストラリア。十九歳の空軍中佐エヴリン・ヴェイルは、水着のような飛行服で戦闘機に乗り、今日も敵を全滅させた。損失ゼロ。なぜか敵は、彼女だけを追ってくる。
袖はない。背中は大きく開いている。太腿まで何も覆わない。前は一本のチャックで、広報からは「可能な範囲で下げろ」と指示が来る。
膝上までの黒いブーツと、細いピンヒール。ただしそのままでは操縦できないので、出撃直前に低い踵のブーツへ履き替える。そして帰ってきたら、撮影のためにまた履き直す。
腿に巻かれた黒い帯だけは、飛ぶときも外さない。そこから下りた留め具は、ブーツを脱いでいる間、何にも留まらずに垂れている。
誰も理由を教えてくれない。装備課の回答はいつも同じだった。
――現行被服規定に従え。
陸では十八歳の少佐が、敵
袖はない。背中は大きく開いている。太腿まで何も覆わない。前は一本のチャックで、広報からは「可能な範囲で下げろ」と指示が来る。
膝上までの黒いブーツと、細いピンヒール。ただしそのままでは操縦できないので、出撃直前に低い踵のブーツへ履き替える。そして帰ってきたら、撮影のためにまた履き直す。
腿に巻かれた黒い帯だけは、飛ぶときも外さない。そこから下りた留め具は、ブーツを脱いでいる間、何にも留まらずに垂れている。
誰も理由を教えてくれない。装備課の回答はいつも同じだった。
――現行被服規定に従え。
陸では十八歳の少佐が、敵