概要
音楽は思想のウイルスだった。治療薬は、この国から感情を奪った。
情報工学専攻の堀本と、言語学専攻の天野。二人がノリで作った一曲が、SNSの拡散アルゴリズムを解析し尽くし、クリスマスソング一色の12月チャートに紛れ込んだ。
ただの悪ふざけのはずだった。
だが年の瀬が近づく頃、刺傷未遂、闇バイトの多発、そして一人の警備員の死——奇妙な事件が全国で連鎖し始める。堀本は自分たちの曲の再生数データと事件の発生日を重ねてしまう。研究室で培った感染症モデル・SEIRが、二つの波形を正確に一致させてしまった。
天野が肌身離さず読む一冊にはこうあった。ミームとは、宿主の行動を書き換える、心を操るウイルスである、と。
僕らの曲が、思想というウイルスの運び屋になっていた。
二人は「治療薬」となる曲の制作に取りかかる。だがその治療が人間から本当に奪ったものを、二人はま
ただの悪ふざけのはずだった。
だが年の瀬が近づく頃、刺傷未遂、闇バイトの多発、そして一人の警備員の死——奇妙な事件が全国で連鎖し始める。堀本は自分たちの曲の再生数データと事件の発生日を重ねてしまう。研究室で培った感染症モデル・SEIRが、二つの波形を正確に一致させてしまった。
天野が肌身離さず読む一冊にはこうあった。ミームとは、宿主の行動を書き換える、心を操るウイルスである、と。
僕らの曲が、思想というウイルスの運び屋になっていた。
二人は「治療薬」となる曲の制作に取りかかる。だがその治療が人間から本当に奪ったものを、二人はま
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