概要
奥さんは選ばれなかったんですよ。と言われた。あの人は誰も選んでいません
名前も顔も知らない誰かが、わたしの夫が知らない女に会っている写真を投稿してくる。
一年前からだ。友達しかいないはずのアプリに、招待した覚えのないアカウントが混ざっている。
「奥さんは選ばれなかったんですよ」
夫の部下だという二十五歳の女が、わたしの会社の前まで来て、そう言った。
夫は毎晩帰ってくる。鮭を焼いておくと、うまいうまいと言って食べる。仕事の話をして、わたしの髪に勝手に触る。
「美月って、昔から余裕あるよな。俺が何しても平気そうで」
わたしは何も言わなかった。この人も、あの子も、わたしが気づいていないと思っている。
黙っていたのは、耐えていたからではない。
これは、一年黙っていた妻が、日付をひとつ決めて、あの人とあの子を同じ日に落として、それから幸せになる話。
一年前からだ。友達しかいないはずのアプリに、招待した覚えのないアカウントが混ざっている。
「奥さんは選ばれなかったんですよ」
夫の部下だという二十五歳の女が、わたしの会社の前まで来て、そう言った。
夫は毎晩帰ってくる。鮭を焼いておくと、うまいうまいと言って食べる。仕事の話をして、わたしの髪に勝手に触る。
「美月って、昔から余裕あるよな。俺が何しても平気そうで」
わたしは何も言わなかった。この人も、あの子も、わたしが気づいていないと思っている。
黙っていたのは、耐えていたからではない。
これは、一年黙っていた妻が、日付をひとつ決めて、あの人とあの子を同じ日に落として、それから幸せになる話。
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