霊長類のペニス事情から見る、人間という中途半端な生き物

黒鯛の刺身♪

第1話and最終話……霊長類のペニス事情から見る、人間という中途半端な生き物

 群れの序列がガチガチに決まっている霊長類ほどペニスが小さい、という観察は、進化生物学の世界ではほぼ定説に近い。

 ゴリラのように「最強のオスがハレムを独占し、下位オスはただ黙って見ていろ」という社会では、精子競争がほとんど発生しない。

 だからペニスも睾丸も、必要最小限で十分だ。


 逆に、チンパンジーのように複数のオスが同時にメスにアクセスできる乱交社会では、ペニスは長く、睾丸は大きく、射精量も多い。

 要するに「奥に入って、たくさん出して、ライバルの精子を押し流せ」という、極めて下品な軍拡競争が繰り広げられているわけだ。


 そして人間は、その両極端の中間に位置する。チンパンジーほど巨大でもなく、ゴリラほど貧弱でもない、まさに「ほどほど」のサイズだ。

 この事実を、進化の観点から皮肉たっぷりに解釈してみよう。


 人間は表面上、一夫一婦制を標榜する生き物である。結婚制度を作り、指輪を交換し、「永遠の愛」を誓い合う。

 だが、その裏ではこっそりと「ちょっとした寄り道」を忘れない。精子競争が完全にゼロではない程度に、他の男の気配を感じさせるくらいの頻度で、メスは複数のオスと関係を持つ。

 だからこそ、ペニスは「完全に必要ない」ほど小さくもならず、「全力で競い合わなければならない」ほど大きくもならない。


 進化は人間に、こう囁いたのだろう。「お前たちは表向きは一夫一婦を装うが、実際は適度に乱れている。だからペニスも『そこそこ』でいい。

 あまり大きくすると、一夫一婦の建前が崩れるし、あまり小さくすると、寄り道の際に不利となってしまう。


 ……ちょうど中くらいにしておけ。と神が仰ったに違いない ( ˘ω˘ )



 ところが、この「中くらい」のサイズが、現代の人間社会で奇妙な二次災害を引き起こしている。


 修学旅行の夜、旅館の大浴場で、あるいは部活の合宿の風呂上がりに、男どもは突然、チンパンジー並みの序列争いを始めるのだ。

 「俺の方がデカい」「いや、俺の方が長い」と、ペニスの大小でマウントを取り合う光景は、進化の視点から見れば実に滑稽である。ゴリラのように序列が固定されていれば、そもそも比較する必要などない。

 チンパンジーのように本気で精子競争をしていれば、サイズ自慢は「実戦」の前に無意味だ。


 だが人間は中途半端なサイズゆえに、実際の繁殖競争とはほぼ無関係な場所で、わざわざ「大きさ自慢大会」を開催してしまう。

 修学旅行という、本来なら歴史や文化を学ぶ場が、突然「中程度のペニスを持つオスたちの虚勢の戦場」と化すのは、進化が人間に与えた「ほどほど」という贈り物の、最も皮肉な副作用と言えるだろう。




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