概要
ハイドレン伯爵令嬢ユーラは、十年をかけて王宮の調薬録を積み上げてきた。だが婚約者の侍医補アルノルドは功績をすべて横取りし、ユーラを「危険な毒物を秘密裏に研究した不貞の令嬢」と呼ばせて婚約破棄・追放を叫んだ。炎が十年分の帳面を舐める場面を見届けて、ユーラは辺境のラーネン村へ向かう。そこで元軍医のヴィクトルと出会い、新たな薬草録を一から紡ぎ始める。やがて王都で正体不明の疫病が広まり——アルノルドが普及させた偽薬が毒として蓄積していたのだった。十年の知識は燃えた帳面の中にだけあったのではない。
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