概要
侯爵令嬢フィリア・クロスウェルは九年間、夜空を観測し続けた。雲の動き、星の光量、風の向き——それを細かな記号と数字に変えた観測帳が、二回の王家遠征を成功に導いた。だが婚約破棄の夜、エドガー王太子は「星を読むなど占い師の余興」と言い捨て、侍従長が九年分の観測帳を暖炉に投げ込んだ。フィリアは静かに告げた。「九年嵐が来るまでは、そのご判断も正しいかと存じます」
北の辺境の砦に身を置いたフィリアは、守備隊長テオバルト・グレインと出会う。山で十年、体に刻んだ天気の勘を持つ武人。二人の「体感と数字」が重なるとき、観測の精度は格段に上がった。九年分の記憶から、フィリアは新たな観測帳を書き始める。一方、王都では第三次遠征が出発した。来るはずのない晴天を信じて。
北の辺境の砦に身を置いたフィリアは、守備隊長テオバルト・グレインと出会う。山で十年、体に刻んだ天気の勘を持つ武人。二人の「体感と数字」が重なるとき、観測の精度は格段に上がった。九年分の記憶から、フィリアは新たな観測帳を書き始める。一方、王都では第三次遠征が出発した。来るはずのない晴天を信じて。
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