概要
火の消えた灯籠を、拾ってはいけない。触れた順に、川から歩いてくる。
送り盆の夜、川辺にいた五人は、火の消えた灯籠を引き上げた。かわいそう——その一言が始まりだった。三日後、灯籠を持ち帰った男が、鍵の掛かった六階の部屋で溺れ死ぬ。肺には、川の水。以来、濡れた足跡が一晩に三キロずつ、川から近づいてくる。触れた順に、一人ずつ。他人に押し付ければ、順番は繰り上がる。送り返す機会は、八月三十一日、川じまいの晩のただ一度。規則を数え、夜を数え、それでも数え違える。夏の終わりまでに、間に合うか。
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