0utro

 ステージ裏に入ると、ひと足先に入っていたRonaLdoの顔が見えた。

「お疲れ〜」と手渡された水を、ST0N3は「ありがとう、お疲れさま!」と受け取ってあっという間に飲み干した。

 そこにyamattoが「おっつ〜」と片手を挙げて入ってくる。


 片付けやステージ裏での挨拶、ミーティングを済ませ、SNSを更新。来てくれた方に向けて感謝のメッセージを送った。

 一仕事終えたST0N3、RonaLdo、yamattoの三人は帰路に就いた。




 三人が居たのは、賑やかな居酒屋の個室だった。

 テーブルの上にはお通しとサラダが置かれているが、そこへさらに三つのグラスが運ばれてきた。

 それぞれのもとにグラスが置かれ、店員が個室を出て行った後、三人は息を合わせた。「じゃあ、みなさん」とRonaLdoがグラスを持つ。それに続き、ST0N3とyamattoもグラスを持った。


「「「かんぱ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜い!!!」」」


 カチャン、とガラスのぶつかる音が鳴った。


「いやぁ〜美味いわ〜! これが最高なんだよ〜」

「みんな、お疲れさま〜! 大成功したようで良かったよ〜!」

「あぁ〜……五臓六腑に染み渡る……俺はこれだけで良い、もう寝るわ」

 寝転がろうとするyamattoの体を、ST0N3とRonaLdoが慌てて支えた。

「待て待て待て、早い早い早い」

「これからメインディッシュが来るんだし、感想戦もするんでしょ? もう少し起きててよ〜橋本はしもとくん!」

「感想戦って将棋じゃねぇんだから……」

「そーゆー細かいことは今はどうでも良いの、はい起きて陽向ひなた〜」

「はいはい……」

 yamattoは気だるそうに体を起こした。

 テーブルの上では、早くもST0N3がサラダを取り皿に盛り始めていた。

「二人とも、ここのサラダ美味しいから食べて食べて〜!」

「あ、ごめん。僕、生の玉ねぎ食べれないから、良ければ抜いておいてくれる?」

「仕方ないな〜、永谷ながたにくんの分は、私と橋本くんで食べちゃうね」

「申し訳ないね〜助かる……」

「はい、どうぞ」とST0N3から玉ねぎ抜きのサラダを受け取り、RonaLdoはもう一度グラスに口をつけた。


「いやぁ〜それにしても、みっちゃんの歌、今日も良かったよ〜」

「そう言ってくれてありがと〜! 先週、喉痛めちゃった時はどうしようかと思ったけど、ちゃんと治ったし、本番当日まで持ってくれて良かった〜」

「すぐに治って本当に良かったな」

「ね〜! 多分、風邪とかじゃなくて、単純に乾燥しちゃったんだろうね。自宅がさ、夏でも割と乾燥するからさ。今度からマスク付けて寝るようにするよ〜」

 ST0N3はそう言ってレタスを頬張った。

 yamattoはあっという間に一杯を飲み干して、次の注文をタブレットに打ち込んでいる。「他に注文ある?」「プリン美味そ〜」「デザートは最後に食え」「カクテルもう一杯!」「り」


「そういえば、初ライブの盛り上がりに乗じてか、永谷くんの音楽派と橋本くんの音楽派で分かれてるらしいね」

「そうだったね〜! 見ててついつい嬉しくなっちゃうよ」

「待って、俺、それ知らないぞ」

「SNSをちゃんと見なさい」

「今、パソコン一台イカれてんだよ」

「スマホは?」

「容量少なすぎてアプリはほとんど入れてないし、はなから俺はエゴサしない人間だ」

「見てみなよ〜、僕のパソコン一台貸してあげようか?」

星大せいだいのパソコンか〜……辞書設定えげつないことになってるじゃん」

「橋本くんなら大丈夫だと思うけど……」

「それは、俺の方がヤバいって意味か? 分かってないな〜、一度星大のパソコンの中身をちゃんと見てみなよ」

「じゃあ、私が永谷くんのパソコン借りちゃお! 橋本くんには、誕生日にでもハイスペックなスマホ買ってあげるね!」

「それはめっちゃありがたいが、気持ちだけ受け取っておく……!」

「あいにく、みっちゃんのパソコンが一番使いやすいような気が……」

 すると、店員が「お待たせしました〜」と個室に入ってきた。yamattoの前に赤ワインが、ST0N3の前にはカクテルが置かれた。

 店員が出ていくと同時に、yamattoはグラスを口につけ傾けた。

「……で、俺と星大、どっちが多いの?」

「やっぱり気になる?」とST0N3はニコニコと笑った。

「と言っても、どっちも限りなく多いんだよね。私が見た時は永谷くんの音楽派が盛り上がってたけど……」

「へぇ〜?」

「いやいやいや! それは偶然だよ、僕が陽向に勝てるわけないって」

「星大、無駄な謙遜はよせ。お前の音楽が流行りに乗ってることくらい、俺は知ってるからな」

「お〜二人とも仲良しだね〜! さすが小学校からの幼馴染だ」

「”僕たち”は高校からの幼馴染だしね」

「あはは、仲間に入れてくれてありがとね!」

 切り身を一口食べると、RonaLdoは「あっ」と声を出した。

「でも結局はさ、みっちゃんの歌声じゃない? めっちゃ綺麗な声してるじゃんね」

「え〜! そんなことないよ〜、二人の作詞と作曲のおかげだよ」

「でも事実としてレベル高いよな。三葉ってボイトレの習い事とかしてたんだっけ?」

「いやあ〜? 夕闇の活動が決まってからかな〜」

「すげぇな……」

「良いよねぇ〜、才能だよこれ。僕は声張ると裏返っちゃうからな〜」

「それな」

「いやいや二人とも! 私たち三人で歌った曲、もう一回聴いてみてよ! 自他共に認める神曲になってるんだよ!?」


「まぁ、結局のところ、僕たち”みんな”が良いってことだね」

 そう締め括ったRonaLdoに、ST0N3はニコニコと笑った。yamattoも嬉しそうにおつまみに手を伸ばす。

 ST0N3はもう一度グラスを掲げた。

「二人に出会えて、一緒に夢を叶えてくれたことに大大大感謝だよ! もう一回乾杯しよ!!」

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Nameless Dream 夜桜モナカ @mokanagi-b21

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