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概要
一度だけ言った「おいしい」が、父を二十年縛った。
給料日の二十五日、父は必ず駅前の店で甘納豆を買って帰った。息子はそれが嫌いだった。友達が食べているチョコレートが欲しかった。ただ一度だけ、幼い日に「おいしい」と言ったことがある——父が笑ったから。
二十年ぶりに帰った実家の茶箪笥から、百枚を超える空き箱が出てくる。畳まれ、日付を書かれ、几帳面に重ねられて。
読まずに押し込んでいた父の手紙を、息子はようやく開く。そこに詫びの一行はない。
遺品整理業者の「私」が見届けた、ある父子の話。
二十年ぶりに帰った実家の茶箪笥から、百枚を超える空き箱が出てくる。畳まれ、日付を書かれ、几帳面に重ねられて。
読まずに押し込んでいた父の手紙を、息子はようやく開く。そこに詫びの一行はない。
遺品整理業者の「私」が見届けた、ある父子の話。
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