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概要
泥犬と呼ばれた。我らは、それを国の名にした。
大陸暦九九九年、冬。
帝国軍第八分隊の分隊長レオンは、命令を一つだけ実行しなかった。村を焼け、という命令である。
彼は部下十六人と、焼くはずだった村の三百人を連れて、廃鉱に入った。持っていたのは、帳面が一冊と、飯を配る順番だけだった。
彼らは「泥犬」と呼ばれた。泥の中を這い回る犬ども、という意味の蔑称である。十五年後、それは国の名になる。
これは英雄の物語ではない。
飯を何人分炊くか。屋根を何戸直すか。誰の名前を帳面に残すか。それだけを積み上げた集団が、帝国と神聖教国、そして海の向こうから来た鉄の船に囲まれながら、条約に署名するまでの記録である。
帝国軍第八分隊の分隊長レオンは、命令を一つだけ実行しなかった。村を焼け、という命令である。
彼は部下十六人と、焼くはずだった村の三百人を連れて、廃鉱に入った。持っていたのは、帳面が一冊と、飯を配る順番だけだった。
彼らは「泥犬」と呼ばれた。泥の中を這い回る犬ども、という意味の蔑称である。十五年後、それは国の名になる。
これは英雄の物語ではない。
飯を何人分炊くか。屋根を何戸直すか。誰の名前を帳面に残すか。それだけを積み上げた集団が、帝国と神聖教国、そして海の向こうから来た鉄の船に囲まれながら、条約に署名するまでの記録である。
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