おわりに

 はじめに、わたしはこう書いた。これは、学校でも家庭でもうまくいかず苦しんでいたわたしに、そっと手を差し伸べてくれた、大切な友だちとの日常の記録だと。


 当初の目論みどおり、わたしの中学時代の思い出は、鮮やかな色彩をとり戻した。想定外だったのは、わたしの記憶力というものは、わたしが思うよりはるかに貧弱だったということである。


 わたしは実家に帰省して、昔のものを片っぱしからひっくり返した。わずかでも過去をつなぎとめているものを探すために。そして発掘されたのが、数冊の学習用ノートだった。文集に寄稿することを考えて、文章を書く練習のために日常を書きとめたノートだった。


 つたない文章だったが、あのころの出来事が詳細に語られていた。感じたことや考えたことも、生のままの感情が刻み込まれていた。だからわたしは、ノートの内容を参考にして、不要な部分は省略し、足りない部分は想像力で補って、小説のように仕立てることにしたのだった。


 なぜそんなノートがわたしのもとにあったのか。それはわたしが、子どもの頃から文章を書くのが得意だったからである。添削とアドバイスのために預けられ、わたしは返すのを忘れてしまっていたのだ。


 玲愛には感謝しなければならない。玲愛のおかげで、わたしは孤独ではなくなった。玲愛のおかげで、わたしは両親との関係を修復できた。玲愛のおかげで、わたしはそのことを思い出すことができた。


 もちろん、ほかにも感謝したい人は大勢いる。莉帆だって大切な友だちだし、荻のおばあちゃんはもうひとりの親のような存在だった。毎日の通学を見守ってくれた稲取さんや、吉田先生をはじめとした学校の先生方だってそうだ。名前を挙げていけばキリがない。


 そして驚くべきことに、わたしがここに書いたのは、たった一年目の半分が終わるまでなのである。中学時代の思い出は、まだ六分の五も残されている。当然、まだ名前すら出ていない人も、これから関係を深めていく人もいる。


 だからわたしは、時間の許すかぎり、この続きを書いていこうと思う。


 多分に自分を美化しながら、物語のような脚色を交えながら。


 大切な友だちの心に、思いを馳せながら。

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