妻を亡くし、故郷に戻った圭一。幼い日の記憶に残る「みすず」という少女を、親友と探し始めます。
入り口は、どこか甘酸っぱい思い出探し。地元の言葉で交わされる旧友との会話や、昔から変わらない食堂の風景には、帰郷した人の懐かしさが伝わってきます。けれど、その親しみやすい日常の中に、少しずつ見過ごせない違和感が混じっていくのです。
特に惹かれたのは、視点が変わることで人物の印象まで変わっていく構成です。圭一から見れば親切だった言葉や行動にも、別の胸の内がある。読者がそれを知ったあと、何も知らない圭一の会話を読む時間には、独特の緊張感があります。
また、誰かを大切に思う気持ちと、その人に秘密を隠すことが同居しているのも印象的でした。人物たちの弱さや身勝手さまで描かれているからこそ、簡単に責めることも、信じ切ることもできません。
第三十九話まで読了。懐かしい写真の中に自分を見つけても、思い出だけが戻らない。その場面に、記憶を探すことの切実さを感じました。
謎の答えとともに、それを知った圭一の心がどう動くのかも気になる作品です。
記憶の中にあるすべては、横顔に過ぎません。
美しくもあり、複雑でもあった若き日の肖像。
しかし、それはやはり「横顔」なのです。
正面の顔でも、もう一方の横顔でもない、ある一人が記憶している片側の側面に過ぎません。
物語を読み進めるにつれ、登場人物たちの真の姿が少しずつ露わになっていきます。
横顔の先にある真相――たとえそれが不都合で、目を背けたくなるようなものであったとしても。
最後にそこに辿り着かずにはいられないのは、好奇心の奴隷である人間の悲しい性(さが)なのかもしれません。
過去へと帰郷し、暗中模索する物語。
雨の降る夜に、ぜひ読んでいただきたい一作です。
12歳より前の記憶が、ほぼ存在しない⁉️
そんな奇妙な空白を抱えた主人公が故郷へと戻り、同級生との再会から物語は動き出します。
どこか切なく美しい広島の情景や登場人物の心理が、
文字を通じて鮮明な画像のように脳裏へ浮かび上がる卓越した描写力です。
一見穏やかな日常のなか、交わされる会話は非常に緻密に練られており、
読み進めるほどに静かな不穏さが心に染み込んできます。
第二章に突入し、面白さが一気に加速します!
失われた記憶の奥底に何が眠っているのか、一文字も読み飛ばせない緊密な空気感に満ちた、
一時も目が離せない本格サスペンスミステリーです😎✨みんな読んでね💕
あまりにも面白過ぎて、レビューを書き直したくなりました。
最初の数話で、読み進めるのを止める方が出てくるかもしれないです。でもその行動は、非常に勿体ないです。
最初は穏やかというスタンスを取りながら、読者が知らない間に、二乗の速さで、引き込まれていきます。読み進めれば読み進める程、キャラクターに親しみがわき、そのキャラクターの先が追いたくなり、最後に真実が明かされる。伏線の張り方もお見事で、読者の考察も楽しませる形をとっています。もちろん、「えっ!」と驚く展開も待っています。
文章は数冊書籍化されているプロ作家さんレベル。レビューの書き方は、プロ編集家レベル。この作者さんの頭の良さは本物です!
子供の頃の記憶が、ほとんどない。
故郷に戻った相羽圭一は、久しぶりに参加した同級生の集まりで、
周囲の人々が覚えている過去と、
自分の記憶との間に大きな隔たりがあることに気づく。
そして、あるきっかけで蘇った、ひとりの少女の記憶。
名前は「みすず」。
けれど、その顔も、詳しいことも思い出せない。
なぜ、自分はこれほど多くの記憶を失っているのか。
少女は本当に存在したのか。
親友とともに過去を辿るうち、忘れていた記憶の奥に、
思いもよらない真実が浮かび上がっていく。
記憶とは、果たして真実を映すものなのか。
過去と現在が交錯する、
本格派サスペンスミステリー。