★
0
概要
人をさばく数字と、誰かを生かす数字。同じ数字が、聞き方で変わる
十、九――。
コートの上で、星野くるみはいつも数えていた。味方がどこにいて、相手のどの足がもう重いか。残り十秒。自分で決めたシュートは外れた。翌年の春、膝の奥で何かが弾けた。ぶちん、と乾いた音がした。痛みより先に、確信のほうが届いた。
走る場所は、もう、なかった。
それでも、くるみの手には数字が残った。
外から見ること。癖を拾うこと。勝ち負けの奥にある小さな偏りを見つけること。統計を学び、データを学び、やがて東京でプロ野球のデータアナリストになった。仕事は、勝ち方を見えるようにすることだった。
けれど、見えることは、ときに刃になる。
手元の資料は、いつしか誰かを生かすためではなく、誰かを外すための資料になっていた。数字は嘘をつかない。けれど、数字を使う人間は、誰かを簡単に裁いてしまう。
コートの上で、星野くるみはいつも数えていた。味方がどこにいて、相手のどの足がもう重いか。残り十秒。自分で決めたシュートは外れた。翌年の春、膝の奥で何かが弾けた。ぶちん、と乾いた音がした。痛みより先に、確信のほうが届いた。
走る場所は、もう、なかった。
それでも、くるみの手には数字が残った。
外から見ること。癖を拾うこと。勝ち負けの奥にある小さな偏りを見つけること。統計を学び、データを学び、やがて東京でプロ野球のデータアナリストになった。仕事は、勝ち方を見えるようにすることだった。
けれど、見えることは、ときに刃になる。
手元の資料は、いつしか誰かを生かすためではなく、誰かを外すための資料になっていた。数字は嘘をつかない。けれど、数字を使う人間は、誰かを簡単に裁いてしまう。
おすすめレビュー
書かれたレビューはまだありません
この小説の魅力を、あなたの言葉で伝えてみませんか?