概要
大学生の佐伯華音は、過去を追体験できる装置「QSRデバイス」の被験者だ。レム睡眠を利用して記憶の中へ潜り、かつての日々をもう一度体験できるその装置で、華音は毎晩、幸せだった時間へと逃げ込んでいた。親友の凛、恋人の圭と過ごした、かけがえのない日常。だが現実の華音は、大学生活に馴染めず、人と関わることに怯え、誰にも打ち明けられない痛みを抱えて生きていた。過去に浸るわずかな時間だけが、彼女にとって唯一の救いだったのだ。そんなある日、いつものように過去へ潜った華音は、ふと気づく。時間になっても、現実に戻れないことに。安らぎのはずだった記憶の中に、彼女は閉じ込められてしまう。耳を塞いでも消えないものと、否応なく向き合うことになった少女は、そこで何を見るのか。静かな痛みと、その先を描く物語。
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