概要
彼女の弟の身代わりで三年服役した俺を、彼女は情夫に指を踏み砕かせた
望月千春と別れて三年目。
俺は銀座の慈善オークション会場で、何の準備もないまま彼女と再会した。
彼女は最前列のVIP席に座っていた。シャンパン色のドレスをまとい、耳元のダイヤが
ライトの下で冷たく光っている。
今の彼女は、鷹宮財団の御曹司、鷹宮啓介の妻だった。誰もが羨む鷹宮夫人であり、俺はオークション会場の入口に立つ臨時雇いの警備員にすぎなかった。
着ている制服も先輩から借りたものだ。袖口には、洗っても落ちない古い汚れが残っていた。
オークションの目玉商品が運び込まれた瞬間、俺はその場で固まった。
それは、一体の木彫だった。
俺がかつて千春のために彫った作品――「月華」だった。
俺は銀座の慈善オークション会場で、何の準備もないまま彼女と再会した。
彼女は最前列のVIP席に座っていた。シャンパン色のドレスをまとい、耳元のダイヤが
ライトの下で冷たく光っている。
今の彼女は、鷹宮財団の御曹司、鷹宮啓介の妻だった。誰もが羨む鷹宮夫人であり、俺はオークション会場の入口に立つ臨時雇いの警備員にすぎなかった。
着ている制服も先輩から借りたものだ。袖口には、洗っても落ちない古い汚れが残っていた。
オークションの目玉商品が運び込まれた瞬間、俺はその場で固まった。
それは、一体の木彫だった。
俺がかつて千春のために彫った作品――「月華」だった。
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