第7話
コツ......
コツ.......
ゆったりとした足取りで絢人のいる場所へ向かった
これからの絢人を想像するだけでゾッとしていた
本当は黙っていたかった
何も知らないまま笑っていてほしかった
そんな自分の考えは見なかったことにした
自分が背負うべき役目なのだから
絢人のいる部屋に来てしまった
コンコン
「絢人、いるか」
浅くなる息を感じながら誤魔化すように小さく深く息を吸った
「凪どうだった?何かわかったか?」
きょとんとした顔をしている
絢人の顔を見ると、いつも張り詰めていたものが少しだけ緩んだ
だが、変わらず手は震え続けたままだった
凪は小さく息を吸った
「少しお前は特殊な人間らしい」
「特殊?」
「さっき絢人にしてもらった試験で才能があるかないかを測っていた」
「才能があるかないか!?そんなの測ってたの!?」
「で、で!どうだったんだ!?」
「才能はない」
「え、俺凪みたいなの出せないの...?」
悲しいという表情をしていた
......多分そこまで悲しいと思っていない時の表情だ
「あぁ、出せない」
「えぇ〜!俺も出したかったんだけど!!」
「残念だったな」
と言い、少しだけ目を細めて笑った
「ただし、一概に才能がないとも言い切れない状況だ。」
「え、チャンスあるの!?」
「それはないな」
そう言ったら絢人が文句ばっかり言ってきたが話を続けた
「才能がない人間は何も視えない。
才能がある人間は物語が視える。
そして、物語を織ることができる。」
「それが俺にはできないのか?」
「あぁ、そうだ。」
「お前は人の感情を視ることができる。
だから物語を解くのが通常の倍早くなるということだ。」
「要するに?」
「サポーターということだ」
「嫌だ〜!!俺サポーター嫌だよ〜!!
前に出てガンガンやりたい!」
「それが無理だから言ってるんだが。」
「そんなのはわかってんだよ!」
いつの間にか息苦しさは消えていた
これからもずっと、
こうしてくだらないことを言い合いたかった
「お前はサポーターとして頑張ることだな。」
「それが嫌なら辞めるか?」
「それはもっと嫌だ!!」
「そんなことだろうとは思った」
また笑ってしまった
さっきまであれほど重かった胸の内が、少しだけ軽くなった気がした
こいつといると、嫌なことを忘れられる
少し関係は変わってしまったかもしれない
それでも。
これから先も、こうしてくだらない話をしていたいと思った
絢人は許してくれるだろうか?
これからも一緒にいたいと思う気持ちと、こっち側に来ないでほしいという気持ち
こんなにも矛盾だらけの気持ちを許してくらないのではないだろうか?
傲慢な俺を許して
Thread of Fate 壱川紬 @Katakuriko_018
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