誰かが隣で当たり散らしてくれれば良かった。文句ばかり言って、勝手に動いて、でも一緒に戦ってくれる性格の悪い奴が一人居ればこの物語は始まりすらしなかった。
オブスキュリテパートでは、本人が復讐以外のやり方を見出せていないから復讐してるだけで、苦悩しつつもあんまり復讐もやる気無さそうだし、四条妹がいちいち噛みついてるからなんとかテンション保って、人間の心を取り戻しつつあるのに、
白瀬結衣パートは市民になじられる仲間や街の危機の事や過去に思うところはしつこいほど描かれるのに、市民に何を言われても正にも負にも全く感情が動かない鉄の心持ち主になりつつあるのがなんか凄い書き分けだな。
こういっちゃなんだけど、オブスキュリテが復讐する理由って、脅威にさらされ続けてる世界のはずなのに武力組織のはずの魔法少女局が街の中で全く権力を持ってないことが理由だし、復讐って社会システムを替える以外破壊するしか無いだろってことでしかないし、葛藤も含めて割と共感しやすいキャラ造形になってるのに対して、
白瀬結衣は街を護りたいという理由で戦う一見して共感しやすいキャラのように見えて、街の中に一緒に戦う仲間は明らかに含まれているけど市民が本当に含まれているとは思えないほど感情の起伏の対象が限定的で、仲間とのズレから目をそらさせるために人間的な部分をひた隠しにしてやせ我慢をするほど、他人と心の壁を作っていく、その精神状態のまま街を必死に守る……
共感不可能なキャラ造形のヒーローになってるのが素晴らしい。
だからこの作品は、人間的な成長の無い白瀬結衣パートって実はフラストレーションを溜める側で、
人間的な葛藤を描いているオブスキュリテパートの方がフラストレーションを開放する側の、一見した光と闇が反対の作品なんですよね。
面白いです。曇らせ作品はキャラの内面描写が多くなるからテンポのつり合いが難しくなるけど、本作はキャラの内面の動きがしっかりしていている上でストーリー展開も遅くならずに読みやすい。
非常に面白くはあるんですけど、主人公の境遇に感情移入しすぎちゃって、バットエンドを期待してしまう自分がいます。
市民側をアメコミの住民並の民度の低さにして、正義の組織を腐らせた感じ。そら闇堕ちもするわなと。
果たしてこの街は命を賭して守る価値があるのか、魔法少女たちが考えない辺りは年相応と言えるのかもしれません。
現状を流れでは、想定しうるバッドエンドへ進む形では無さそう。
「光堕ち」と言えば聞こえはいいですが、主人公がひたすらに搾取され続ける側で見ていて辛い部分も。
正直、絆す絆されないのラインをぶっちぎって闇堕ちしてるレベルだと思ったので。
作中の世界にとってのハッピーエンドか、物語としてのハッピーエンドか。
どのように着地するのかとても楽しみです。