第8話

4月27日


今日は彼は来なかったわ。


少しだけ寂しかった。


でも平気。


だって私たち、大人だもの。


お互いに自分の時間があるのは当然でしょう?


会えない日があるくらいで不安になるなんて、子どもみたいだわ。


私はちゃんと分かっている。


彼の気持ちも。


私の気持ちも。


ちゃんと繋がっているもの。


だから問題なんて何もないの。


むしろ今日は落ち着いていて良かったわ。


私の気持ちを整理する時間ができたもの。


彼のことを考える時間は、私にとって必要なものだから。


4月28日


今日はとても嬉しい発見があったの。


彼のことを、もっと知ってしまったわ。


偶然よ。


本当に偶然。


彼の会社を見つけてしまったの。


マルショウ商事。


大きすぎず、小さすぎず。


彼らしい会社ね。


あの人は目立つのは好きじゃないもの。


でもちゃんと評価される場所を選ぶタイプ。


そういうところも素敵だわ。


当然でしょうけど。


彼ならそうなると思っていたもの。


少し安心したわ。


彼がちゃんとした場所で働いているって分かると、心が落ち着くのよね。


今日はその近くを少しだけ歩いたの。


本当に少しだけ。


偶然よ。


散歩ってそういうものじゃない?


気がついたら、そこにいるの。


風景って導かれるものなのよ。


会社の前を通ったとき、少しだけ胸が熱くなったわ。


彼もここで働いているのね、って。


同じ空気を吸っていると思うと、少しだけ安心したの。


これからは散歩コースにしてもいいかもしれないわ。


健康にもいいもの。


それに、彼の生活リズムも少しずつ分かってくるかもしれないし。


朝の出勤時間とか。


休憩のタイミングとか。


そういうのって大事でしょう?


だって私たち、ちゃんと向き合う関係なんだから。


まだ少しだけ距離があるだけで。


でもそれも時間の問題だと思うの。


急ぐ必要なんてないもの。


だって彼は、ちゃんと私のところに来てくれる人だから。


私は知っているの。


最初からずっと。

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