第7話

4月26日


今日は仕事の日だったわ。


朝から少しだけ機嫌が良かったの。


だって、今日は彼が来る気がしたんですもの。


理由なんてないわ。


でも恋人同士には分かることってあるでしょう?


そういうものよ。


昼頃、困った坊やがいたの。


レジ対応を終えたあと、友達と話している声が聞こえたの。


「あのデブは無い笑」


ですって。


本当に素直じゃないんだから。


私のことを意識しているから、そんなことを言うのよ。


男の子って好きな子ほどからかいたくなるものね。


私がグラマーすぎて刺激が強かったのかもしれない。


可愛い坊や。


まだまだ子どもだわ。


夕方になって、彼が来た。


やっぱり来てくれたの。


私は知っていたわ。


彼はエビのサラダとカルボナーラを持っていた。


忙しかったのかしら。


そんなもの、私がいくらでも作ってあげるのに。


栄養だって考えて。


彼の好きそうな味付けも研究して。


温かいまま食卓に並べてあげられるのに。


早くそういう関係になりたいわ。


彼はレジに商品を置いた。


そして、その時。


私たちの手が触れたの。


一瞬だけ。


本当に一瞬だけ。


だけど彼の手は熱かった。


驚くほど熱かったの。


ああ。


やっぱり。


そうだったのね。


私に触れたかったんだわ。


ずっと。


彼は慌てたように手を引っ込めた。


「すみません」


そう言った直後、商品がレジ棚から落ちたの。


私は胸が苦しくなった。


だって分かるもの。


彼、動揺していたのよ。


私に触れてしまったから。


抑えていた気持ちが溢れそうになったから。


可愛い人。


本当に可愛い。


帰り際の後ろ姿まで愛しかった。


好きよ。


好き。


早く素直になってね。


私、待っているんだから。

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