概要
私からの挑戦状を、受け取ってくれますか?
記憶医療を専門とする《白環療養研究所》に、外部監査員の篠宮遼が派遣される。
匿名の告発状には、こう記されていた。
――ここでは、記憶よりも記録の方が信用できない。
研究所で篠宮を迎えたのは、過去の大半を失った女性・水城澪だった。彼女の恋人を名乗る作家・真壁朔は、失われた人生を補うため、澪の過去を物語として書き続けている。
一方、夜の研究所には、クロウと呼ばれる正体不明の警備員が現れる。澪を異常なまでに守ろうとする彼女の名前は、職員名簿にも、契約記録にも存在しない。
吹雪によって研究所が孤立した夜、内側から施錠された一室で、複数の人間が死体となって発見される。
証言は一致している。
監視記録にも異常はない。
それでも、何かが隠されている。
匿名の告発状には、こう記されていた。
――ここでは、記憶よりも記録の方が信用できない。
研究所で篠宮を迎えたのは、過去の大半を失った女性・水城澪だった。彼女の恋人を名乗る作家・真壁朔は、失われた人生を補うため、澪の過去を物語として書き続けている。
一方、夜の研究所には、クロウと呼ばれる正体不明の警備員が現れる。澪を異常なまでに守ろうとする彼女の名前は、職員名簿にも、契約記録にも存在しない。
吹雪によって研究所が孤立した夜、内側から施錠された一室で、複数の人間が死体となって発見される。
証言は一致している。
監視記録にも異常はない。
それでも、何かが隠されている。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!記憶 記録 心 身体 第三者 私を証明する物は?
アイデンティティーにおいて
記憶:自分が体験してきた過去の出来事や感情の記録。脳内に蓄積されたこの記録が、現在の自分はこういう人間だという自己認識の土台。
記録:外部の記録は、薄れゆく自伝的記憶を補い客観的に自分の歩みを証明する。
心:過去の出来事をそのまま思い出すだけでなく、あの経験があったから今の自分がいるというストーリー。
身体:記録と心を現実世界につなぎ留めて他者に対して自分を物理的に証明する器。
第三者:自分という存在を外側から認識して承認し、アイデンティティを社会的に確定させる鏡であり認証機関。
ではあなたがあなただと保障する物は? - ★★★ Excellent!!!~「記憶」と「記録」、どちらも信じられない密室の謎 ~
「ここでは、記憶よりも記録の方が信用できない」という告発状の一文が、この作品の核をうまく言い当てていると思います。過去の大半を失った澪、彼女の物語を書き続ける作家の朔、職員名簿にも契約記録にも存在しない警備員クロウそれぞれの立場から見える「真実」がずれていく構造が、謎を一層深めています。
吹雪で孤立した研究所という舞台設定はミステリーとして王道ですが、テーマが「記憶」そのものに置かれているため、単なる密室殺人ではなく、誰の記憶が信用できるのかという認識論的な謎解きになっているのが面白いところです。証言も監視記録も一致しているのに何かが隠されている、という不穏さの積み重ね方も丁寧でした。
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