概要
救えたのは命だけ。曇る王女を、一時だけでも笑顔にしたいのに。
王城が燃えた夜、俺は第一王女だけを救い出した。
だが、救えたのは彼女の命だけだった。
国も、家族も、民も、誇りも、帰る場所も。
王女としてのエリシアの「世界」のすべてを、俺はあの炎の中に置き去りにして、彼女を生かしてしまった。
「お父様も、お母様も、すぐに追いつかれますよね」
混乱の中で、それでも気丈にそう問いかける彼女に、元特務兵の俺は答えられなかった。
目的地は、形だけの婚約者のいる隣国。そこへ行けば希望はあると、彼女は健気に信じようとする。
しかし、旅の途中で届く報せは、どれも残酷なバッドニュースばかりだった。
国王と王妃の処刑。奪還に命を賭けた忠臣たちの玉砕。
そして、帝国軍を王都へ招き入れたのは――彼女の実の兄である、第一王子だった。
「私が生きているから、みんな死んでし
だが、救えたのは彼女の命だけだった。
国も、家族も、民も、誇りも、帰る場所も。
王女としてのエリシアの「世界」のすべてを、俺はあの炎の中に置き去りにして、彼女を生かしてしまった。
「お父様も、お母様も、すぐに追いつかれますよね」
混乱の中で、それでも気丈にそう問いかける彼女に、元特務兵の俺は答えられなかった。
目的地は、形だけの婚約者のいる隣国。そこへ行けば希望はあると、彼女は健気に信じようとする。
しかし、旅の途中で届く報せは、どれも残酷なバッドニュースばかりだった。
国王と王妃の処刑。奪還に命を賭けた忠臣たちの玉砕。
そして、帝国軍を王都へ招き入れたのは――彼女の実の兄である、第一王子だった。
「私が生きているから、みんな死んでし
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