概要
人類の監視者が、迷い始めた日
そう遠くない未来の話だ。
政府が推進する行動観察AI《センチネル》の運用開始から、七年が過ぎようとしていた。
最初の二年で公務員職のハラスメントが激減した。三年目に鉄道事故が統計的に消えかけた。五年目、基幹病院での医療事故件数が前年比で半減した——という数字が発表された。政府はその数字を丁寧に積み上げ、段階的に観察対象を拡大してきた。公務員から、鉄道網へ。病院から、学校へ。学校から、街へ。
世論は割れていた。割れたまま、今日も動いている。
賛成派は言う。見られているなら安心だ、と。
反対派は言う。見られていることが恐怖だ、と。
どちらも正しく、どちらも一面しか見ていない。
透子はそう思いながら、毎週末の深夜、モニターに向かっていた。
政府が推進する行動観察AI《センチネル》の運用開始から、七年が過ぎようとしていた。
最初の二年で公務員職のハラスメントが激減した。三年目に鉄道事故が統計的に消えかけた。五年目、基幹病院での医療事故件数が前年比で半減した——という数字が発表された。政府はその数字を丁寧に積み上げ、段階的に観察対象を拡大してきた。公務員から、鉄道網へ。病院から、学校へ。学校から、街へ。
世論は割れていた。割れたまま、今日も動いている。
賛成派は言う。見られているなら安心だ、と。
反対派は言う。見られていることが恐怖だ、と。
どちらも正しく、どちらも一面しか見ていない。
透子はそう思いながら、毎週末の深夜、モニターに向かっていた。
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