第5話 結果発表
今日は、最終選考が発表される。
一次選考は二人揃って、通過したよ。
放課後、楓の家に行って、一緒に結果を見る。
正直、あまり期待はしていない。
一次選考を通っただけでも、上出来だから。
ずっと気になって、クリスマスもお正月を上の空だった。
「やった」
最終選考に残ったのは、七作品。
そこには、私の名前があった。
信じられないという思いで二度見するけど、間違いない。
「楓、どうだった?」
俯いている楓の顔を覗き込むと、目から涙がこぼれ落ちている。
落ちちゃったのかな。あんなに最高な作品なのに。
「さ、最終選考、通ったよ」
「おめでとう。私もだよ」
よかった、二人で通過できて。
嬉し涙で安心した。受賞まで、あと一歩だ。
◇◇◇
最終結果発表日。
今回は私の家に集まった。
小説賞のサイトを開くと、すぐに受賞者の欄が出てきて、そこにはなんと、私の名前があった。
雲の上の出来事みたい。
「向葵、おめでとう」
「ありがとう。楓」
思い切り喜びたかったけれど、楓の結果がまだわからないから、程々にする。
「落ちちゃった」
楓が小さな声でつぶやくように言う。
「ちょっと、待って」
私が、楓のスマホを借りてスクロールすると、特別賞という項目を見つける。
「楓、見て」
そこには、楓の名前があった。
「えっ、本当?私、本当に受賞したの?」
楓は、理解が追いついていない。
「おめでとう。二人揃って受賞だね」
「楓、ありがとう」
「なんのこと?」
「いや、なんでもない」
私は楓が一緒にいてくれたから、受賞まで道を歩めて感謝しかない。
けど、照れくさくて言えなかった。
◇◇◇
半年後。
私と楓は中学二年生になった。
帰り道、楓と一緒に本屋さんに寄った。
今日は、私たちの本が発売日だからだ。
半年をかけて、私たちはたくさんの人のおかげで、発売することができた。
「あっ、あった」
私のいつも読んでいる小説の隣に私の小説が並んでいた。
すごいな。プロの人の隣に並んでるなんて。
私って本当に作家になったんだね。
まだ受け入れきれない。
覆面作家で、ペンネームは心愛だよ。
「私もあったよ。」
楓も覆面作家。ペンネームは雫。
二人とも前世の名前をペンネームにした。
小説と漫画でジャンルが違うから、場所は離れていたけどしっかり並んでいた。
お互いの本を買い、帰路についた。
良いことも悪いことも、前世を含めてたくさんあったけど、こうしてデビューできて言葉に表せないくらい、嬉しい。
前世が嫌だったわけではないけど、私は転生できて、本当によかった。
転生して新たな道へ〜前世の共演者と中学校で再会したら、覆面作家でデビューすることになりました〜 蒼陽 @nyansan55
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