第4話 応募準備

今日も、楓と図書館で待ち合わせした。


「私、小説賞の応募考えてるんだ」


作業を始める前に、思い切って楓に言ってみた。


挑戦したいという思いがあるけど、勇気が出なくて背中を押してほしかった。


「いいと思う。それなら私は、漫画賞に挑戦してみようかな」


「お互い、頑張ろう」


私と楓も、応募期限は八月末。


残り、二ヶ月もない。


◇◇◇


数日前から、夏休みが始まった。


本格的に夏を迎え、蒸し暑い日が続く。


「楓。ここの描写、少し不自然じゃないかな?」


今日は、楓が私の家に来て、お互い見せあっている。どちらも、推敲段階に入っている。


私は、楓の漫画を読み終わり、気になったところを指して言う。


「あっ、そうかも。向葵は、漢字間違ってるところ多いよ。同音異義語ってやつかな」


私は、自分の中では漢字が得意だと思ってたけど、そうでもなかったかな。


「例えばどこ?」


自分では、どこが間違っているかわからない。


同音異義語という言葉も、聞き馴染みがない。


「『以外』と『意外』とかの同じ読み方だけど意味が違うところかな」


漢字を使う時、意味なんてあまり意識してなかった。小説家志望なのに、情けない。


「調べながら、直すね」


「うん。私ももう一回、見直してみる」


◇◇◇


「ついに、応募したね」


八月中旬。


昼食後、楓と一緒に原稿をポストに投函した。


「そうだね。一次選考は通過したいな」


「向葵なら、絶対大丈夫だよ。それに、今回だめでも、来年また一緒に頑張ろう」


楓と出会えて本当によかった。


同じ境遇で、似たような夢を持っている。


もし、落選しても私は隣に楓がいること、無事に完成させて応募できたことだけで私は幸せだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る