色めく教室

翌週木曜日の「魔法で楽しもう」の時間は、ダンスとゲームの二択だった。

「黄色、かわれ!赤、かわれ!」

「せんせぇできない」

ダンスを選んだ子どもたちは音楽に合わせて、ステップを踏むと同時に踏んだ場所の色を変えられるかで大騒ぎしている。半分以上の子どもたちは四、五回に一回色を変えられるのでいい方だ。

ミアとマイロは、退屈そうに誰よりも早くと色を繰り出していた。二人だけは足が床に触れる度に、水色、白、オレンジ、と次々と変わっていく。

「さあ曲が変わるわよ!みんなついていけるかな?」

フェーン先生がCDプレイヤーのボタンをカチッと押すと、明るくてゆったりとした曲から一転して、アップテンポで激しい音楽が教室中に鳴り響いた。フェーン先生はびっくりして慌てて止めようとするが、いくらボタンを押しても音楽は止まらない。レイもプレイヤーを止めようと一応は努力を試みる。


マイロは最終日くらい叱られないよう片足でトントン拍子を取るくらいにしていたが、やがてうずく衝動を抑えきれなくなって、ダイナミックな踊りを披露し始めた。靴の裏が床を踏みしめる度に黄色と紫になる。子どもたちはわぁっと完成を上げて、マイロを取り囲んだ。

「みんな、元の位置に戻りなさい!」

フェーン先生は感嘆しつつもなんとか秩序を取り戻そうとしたが、子どもたちはまるで聞いていない。静かにさせるために、いつもやっているポーズを取らせようとしても無駄だ。みんなマイロに目が釘付けになっている。もちろんミアも。目をキラキラ輝かせて、身体は楽しそうにリズムを刻んで。

そのうち、ついに我慢できなくなり

「ぼくもやる!」

とマイロの前に飛び出た。マイロは挑発するような視線をミアに向ける。ミアがひるむことなくぴょん、と飛ぶと床は緑とピンクと白に変わった。得意げな笑みを浮かべるミアを見て、マイロもにやりと笑うと今度は四色に変えて見せる。次はミアが五色、マイロが六色…床はどんどんカラフルになっていき、教室中が、ディスコホールみたいに輝き始めた。他の子どもたちも思い思いに飛んだり跳ねたり踊り出し、教室中があらゆる色と楽し気な笑い声にどっと満ち溢れた。

やがてミアとマイロは疲れて教室に倒れ込むと、顔を合わせて笑い出した。


その様子を、マイロを迎えに来ていた保護者と、個別懇談に来ていたミアの保護者が教室の窓からじっとのぞいていた。

「うちの子があんなに楽しそうにしてるなんて」

「あんなに笑ってる姿、本当に久しぶりに見た」

ホープ先生は二人の後ろで、その光景に笑みを浮かべていた。ミアとマイロは、三人が見ているのにも気づかず笑い続けていた。

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