概要
死んだ人たちの花火が、今夜も空で燃えている。
お盆の終わり、長崎の離島。墓地のすぐ下の畑の縁に折りたたみテーブルを出して、親戚一同が集まっている。小学四年生のサキにとって今夜の最大の関心事はびわゼリーだ。でも夜が深まるにつれて、いろんなものが見えてくる。三年前の事故で指を二本なくしたトオルおじさんの手。毎年お盆になると墓地の方を見続けるケンジおじさんの横顔。石垣の上に座っていた、島の人間じゃない知らないおじさん。そして振り返ったら、いなかった。
お父さんに手を引かれて畦道を歩きながら、サキは初めて天の川をちゃんと見た。島の夜空の天の川は川じゃなくて傷みたいだった。空についた傷から光が漏れていた。
「死んだ人は星になるって、キヌばあが言いよったやろ」とお父さんが言った。
全員いる。生きている人も、死んだ人も、まだ会ったことのない人も。今夜だけは全員いる。
お父さんに手を引かれて畦道を歩きながら、サキは初めて天の川をちゃんと見た。島の夜空の天の川は川じゃなくて傷みたいだった。空についた傷から光が漏れていた。
「死んだ人は星になるって、キヌばあが言いよったやろ」とお父さんが言った。
全員いる。生きている人も、死んだ人も、まだ会ったことのない人も。今夜だけは全員いる。