概要
迎え方を間違えた家から、先に消える。
旧暦の盆の翌晩を「裏盆」と呼ぶ集落がある。
民俗誌ライターの私は、山間の村・梶ノ原を取材で訪れた。家ごとに供物が違う。湯飲みの水、塩を盛った皿、半分の蝋燭、布で巻いた鎌。集落の老婆が言った。
「迎え盆で迎えるんは、家のもん。裏盆で迎えるんは、家のもんやないもの」
宿の主は私に告げた。十六日の夜は、二階から下りるな、と。
戸籍上は二十二軒。住人がいるのは二十軒。窓から見える屋根は、地図より一軒多い。二十年前、宿の女将と、その娘が、同じ晩に家から外へ出た。それきり、橋の下で見つかった。
客は、家のなかにおる者の数を数える。数が合えば、入らない。合わなければ、入ろうとする。
私は、数えられた。
十六日の夜が明けたとき、私は梶ノ原を発った。
来年の裏盆の前に、もう一度、梶ノ原に行く。
行かなければ、
民俗誌ライターの私は、山間の村・梶ノ原を取材で訪れた。家ごとに供物が違う。湯飲みの水、塩を盛った皿、半分の蝋燭、布で巻いた鎌。集落の老婆が言った。
「迎え盆で迎えるんは、家のもん。裏盆で迎えるんは、家のもんやないもの」
宿の主は私に告げた。十六日の夜は、二階から下りるな、と。
戸籍上は二十二軒。住人がいるのは二十軒。窓から見える屋根は、地図より一軒多い。二十年前、宿の女将と、その娘が、同じ晩に家から外へ出た。それきり、橋の下で見つかった。
客は、家のなかにおる者の数を数える。数が合えば、入らない。合わなければ、入ろうとする。
私は、数えられた。
十六日の夜が明けたとき、私は梶ノ原を発った。
来年の裏盆の前に、もう一度、梶ノ原に行く。
行かなければ、
ありがとナス
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