概要
名前を継ぐことと、自分を生きることは、同じことか。
中世都市国家ヴェローチェ。名家カペルッティのジュリエットは、祖母の遺した香水を纏った夜、五人の男に囲まれた。全員の名が「ロミオ」——ただし、微妙に異なる綴りで。香水には、嗅いだ者の渇望を増幅させる秘密があった。五人は各々の思惑と誇りを抱えてジュリエットへ向かうが、ただ一人、嗅覚を失くしたロミオだけが、最初から別の理由で動いていた。香りが消えた後も、何かが続いていく。評議会の思惑、名家の対立、そして調香室の窓は、今日も開いている。誰も死なない、ロミオとジュリエットの物語。