概要
全員が笑っているのに、1人だけ笑っていない。
「8,797通の中に、一枚だけ——違う書類があった」
九条エンターテインメントのオーディション担当スタッフ、浅井麻衣、27歳。
ある日の午後、書類を処理する手が止まった。
志望動機欄にはこう書かれていた。
「知りたいことがあります」
それだけだった。特技欄は空欄。写真は加工なし。笑顔を作っていない、一枚の顔。
気になった。それだけだった——のはずだった。
女性アイドルグループが三百を超える飽和市場の中で、
六色のカラーシステムを武器に上位をキープしてきたゆめいろシフォン。
結成から一年、グループに陰りが見え始めた。
プロデューサーの九条冴子は言う。
「ゆめいろシフォンに今必要なのは——事件です」
8,000人規模のオーディションが始まった。
麻衣は書類を処理し続ける
九条エンターテインメントのオーディション担当スタッフ、浅井麻衣、27歳。
ある日の午後、書類を処理する手が止まった。
志望動機欄にはこう書かれていた。
「知りたいことがあります」
それだけだった。特技欄は空欄。写真は加工なし。笑顔を作っていない、一枚の顔。
気になった。それだけだった——のはずだった。
女性アイドルグループが三百を超える飽和市場の中で、
六色のカラーシステムを武器に上位をキープしてきたゆめいろシフォン。
結成から一年、グループに陰りが見え始めた。
プロデューサーの九条冴子は言う。
「ゆめいろシフォンに今必要なのは——事件です」
8,000人規模のオーディションが始まった。
麻衣は書類を処理し続ける