第4話 『時戻し』の懐中時計 肆
異界にある骨董店『異界堂』は今日もひっそりと営業していた。
「玉藻様~」
「何?オサキちゃん」
「今日は・・・いえ、今日も暇ですね」
「うふふふふふ、そうね~」
「まぁ平和で良いんですけど」
「あら?75匹にも増え家を食い潰したりしていた子が平和が良いとか、うふふふふふ」
「あ~あれは若気の至りで・・・」
「あら?まだまだ若いでしょ?」
「そりゃ玉藻様に比べたら、ウキッ!
女性に年齢を言うのは禁句である。
それが女性同士でもである。
その禁を破った者は制裁を・・・
オサキは変な叫びを上げた。
何故ならば玉藻様に頬っぺたを抓られていた。
そして、半泣きで文句を言う。
玉藻様はニコニコしながらも目が笑っていない。
「
「悪いお口にはチャックが必要かしら?」
「も、もう言いませんから~お許しください!」
オサキは傷む頬をスリスリしながらもペコペコと玉藻様に謝罪の為頭を下げつつ、様子を窺う。
玉藻様も何時もの事だからと溜息一つ、許すこととした。
気心が知れているからこその一幕である。
絶世の美女と美少女のじゃれ合いは誰得なのだろうか?
いや、誰も見ていない。
「お~い玉藻さんやい居るかい?」
「あら?お久しぶり!」
「ああ、久しいな!」
白髭を生やした如何にも仙人か神様かと思える格好の老人が骨董店『異界堂』の入り口を潜り入店して来た。
どうやら玉藻様と知り合いの様で、店奥の玉藻様の向かい側、囲炉裏を挟んで正面にドカリと座ってその老人が言って来る。
「あれを貸してくれ!」
「あれ?」
「ほれ、あれじゃよあれ!」
「神の癖にボケた様なセリフを言わないでくださいまし!」
「すまんすまん!それで、『時戻し』は貸して貰えるのかな?」
老人、いや老人の姿をした神のお目当ては懐中時計『時戻し』であった。
玉藻様は眉を潜め言う。
「残念ながら今は貸し出し中です」
「アイヤー!そんな・・・」
「少ししたら戻ると思いますよ?」
「少し?何処かの神が借りていったなら少しでは済まんじゃろ?」
「いえ、借りられているのは現世人ですよ」
「人?人が使っても戻せる時は高が知れておろう?」
「そうですね~」
「ふむ、少し待てば戻るか!」
少しすると、『時戻し』が置いてあった棚に光が迸る。
その場にいる者、三者がそれを見詰めている。
見詰めている間に懐中時計『時戻し』がその場に何も無かった様に存在していた。
「お!戻ったようじゃな」
「左様ですね~」
「では、貸してくれ!!」
「どうぞ」
そう言って玉藻様は
★~~~~~★
「昨日未明、身元不明の男性遺体が路上で発見されました。男性は老齢であり、現在、事件事故の両方から捜査中との事です。次のニュースです」
TVで身元不明男性の遺体発見の報が流れる。
その後、ある会社の社長が行方不明となっており、事件事故、誘拐の可能性もあるという報道も流れるのであった。
老齢の男性のDNA鑑定の結果、同じ日に報道された会社社長のDNAと一致し、同一人物と認定されるが、年齢差から考えて不可解な事件であり、事故として処理される。
司法解剖の結果、老衰と判定されたが、年齢は有に100歳を超え、一度は150歳ほどと鑑定されたが、ありえないという事で、これまた不明との判断がなされた。
時を戻した代償であることを知る者は・・・
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