起こったことの事実だけをマクロにみれば、ありがちな話と言えそうですが、まったくそう感じさせない細部のリアリティが素晴らしかったです。少しばかり気後れしてしまうほどに、主人公(達)の「今」が鮮烈に切り出されています。読者の経験(を喚起させる)みたいな雑味を排除した鋭さが最高でした。
クルクルと回る関係性の歯車は、一緒の速度だからこそ成り立つ。好きであっても、所詮は他人。何かを分かち合ったりしていても、思い出の中で笑っていても、それは違う人間。噛み合わない速度。ズレていく関係。すれ違いですらないというタイトルの妙。気が付いた時にはもう遅い。いや、このままでいいと思っているようではもう遅い。ギアはずれる。ズレた分を回ることができるかは、きっとその人次第。そのもどかしさこそが、物語なのだ。
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