勝利も恋も一人では叶わない。ゼロ勝の女性騎手が挑む本気のリトライ

 女性騎手・結城エマは、デビューから一年が経つにもかかわらず、いまだに勝ち星ゼロ。故郷・北海道の牧場を思い、「次こそ勝たなければ」と自分を追い込み、必死になるほど焦りと緊張で気持ちが空回りし、結果は裏目に出てしまう。そんな彼女に救いの手を差し伸べたのは、同期の天才騎手の風間翔だった。

 気持ちだけでは、一人きりでは、勝利には届かない。競馬というシビアな勝負の世界で生きる男女の姿が、リアルに描かれていました。

 勝利にこだわるあまり、自分が乗る競走馬の気持ちを見失っていたエマ。一方的に自分をエゴを押し付けるのではなく、馬と心を寄り添わせること。これって騎手と競走馬という関係だけの話ではなくて、どんな仕事においても、同僚や顧客との人間関係にも通じる、"仕事の心構え"を説いています。

 自分が主張するばかりでは相手とぶつかってしまう。互いの考えを受け入れ、理解し合うことで、よりよい結果が生まれる。パートナーの気持ちを尊重し、ともに目標へ進む姿勢は、男女の付き合いにも欠かせない"恋愛の極意"なのかもしれない。

 力を合わせ、ついに一勝を掴んだエマと翔。これからの二人にどんなレースが待ち受けて、どんな結末を迎えるのか。二人の恋の物語は、まだゲートを飛び出したばかりです。


(「エンジョイワーク!」4選/文=愛咲優詩)