概要
……私は、馬鹿だ。
真夏の交差点で再会したのは、置き去りにした初恋。「幸せになってね」と願ったはずの言葉が、鎖となって胸を締めつける。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!くっせぇ未練、それは見れぬ鎖。
形容するならば、この千文字は、あの人と同じ柔軟剤の芳香。
五感——それは色声香味触いずれでもよい——の刺激からくる恋慕愛慕の追憶は、大脳皮質の長期記憶領域を畳針で抉るかのように、オブラート一枚の細胞膜を発破する。
事実、私の脳味噌は、完熟トマトをプチっと噛み潰した時のように、ぐちゃぐちゃの鳩血色になった。
読めばひとたび、読者の大なり小なり抱える過去の色恋沙汰の一部始終が、瞬間的宇宙創造の超光速で、どこぞやの目隠し最強呪術使いの無量大数情報流し込み技の如く、全身を襲う。
それすなわち、見えざる恋の鎖、青臭い未練。
臭いものに蓋をする、などとはよく言ったものだが、その蓋をいとも簡単に…続きを読む - ★★★ Excellent!!!行間からはっきりと垣間見える、「若さゆえのすれ違い」が生んだ過去
二人の間には一体何があったのか。
「武春くん」と主人公の「私」の関係性。かつて恋人だった彼の姿を見やり、胸が締め付けられる。
かつては本当に幸せだったのに、「些細なすれ違い」から自ら別れを切り出してしまったという。
一文一文が丁寧に紡がれていて、「過去に何があり、どうして彼女の方から別れを告げることになったのか」について自然と想像力が刺激されていきます。
嫉妬心が絡んでいること、些細なすれ違いだったこと。若さゆえのこと。
彼女は本当に武春くんのことが好きで好きで、彼のことで頭がいっぱいだったのではないか。だからこそ、「彼が自分と同じくらいに自分を好きでいてくれるか」と不…続きを読む