不完全という美徳。
- ★★★ Excellent!!!
まだ読み途中ですが、フライングレビューを書かせていただきます。
この物語の最大の魅力は、主人公エナの「不完全さ」にあると思われますな。
神の血を引くレクターでありながら、聖書を退屈がり、リンゴも満足に剥けない。彼女は選ばれた存在でありながら、決して英雄らしく振る舞えない普通の少女なのです。
しかしその弱さこそが、物語に深い緊張感を与えております。
白い髪という欠けた証、他者の視線への不安、それでも前に進もうとする意志。エナは「神話の後継者」ではなく、「制度に押し出された人間」として描かれ、その揺れ動く心が読者の感情を強く引き寄せます。
エナは強くない。だが、だからこそ彼女の旅はただの冒険ではなく、自分が何者であるかを問い続ける物語になるわけですな。
この物語は、エナという一人の少女の弱さと誠実さによって、壮大な神話を人間の物語へと変えています。
引き続き注目していきたいと思います。