強いメッセージが伝わってくる お涙ちょうだいものではない

この作品から伝わってくるのは、いくつかの層に重なる強いメッセージだと私は思いました。


一つは「障がいを持つ子どもと、その子を支える家族の孤独」なのかな、と思います。
その障がいの理由は、後に明らかになりますが、冒頭ではそれはまだわかっていません。

冷たい金属=義足は、身体の一部であると同時に社会との隔たりや無理解を象徴しており、それを抱える娘の苦しみが描かれています。

もう一つは「親の葛藤と限界」のように感じました。


母は必死に子供に寄り添おうとしますが、子どもの本当の痛みを完全には受け止められず、学校や社会もまた手を差し伸べない。

残念ながら、学校はそういうところである、私がかつて学校に勤めていたからこそ私もそう思います。

母親の無力感と責任感の間で揺れる心情が痛いほど伝わります。


そして最後に「死と救い」

事故か自死か定かでないラストに残された娘の笑顔は、娘にとっての「解放」や「夫との再会」を示唆しているように見えます。

母にとっては悲劇ですが、同時に娘にとっては安らぎだったのかもしれません。

それでもやはり、悲劇です。

この物語は「大切な存在を守ろうとしても、どうにも届かない現実の残酷さ」と「それでもなお愛し続ける親の心」を読者に突きつけている、

私はそのように思います。

高校生の作品を読ませていただいております。辛辣で辛い作品が多いです。

日本はどうしてこんな国になってしまったのでしょう。