第2話 再考の結果……(運気が上がる?)

 あらためて、もう少しお付き合いいただければ幸いです。最後には、あなたの運気を上げるヒントが、なにか見つかるかもしれません。




♣再考


 第1話で〝記憶を失ったあなた~~~~~~~~~にとって、AもBも当たる確立は~~~~~~~~~~1/2~~~]に変わってしまった〟と書きましたが、これは間違いでした。

 正しくは〝記憶を失ったあなたにとっても、Aの当たる確率は~~~~~~~~1/3~~~] Bの当たる確率は~~~~~~~~2/3~~~]のまま〟変わる事はありませんでした。


 なぜかというと、この一連の経過をカード裏から見たとしたら(司会者の視点なら)どうなるかを考えていたのですが、実感しにくく(パソコンでシュミレーションすれば簡単かもしれませんが……)書き出してみました。


<3枚のカード、全ての組み合わせ>

 …1=当たり、0₁と0₂=外れ、とします…


 (A1  B0₁  C0₂)

 (A1  B0₂  C0₁)

 (A0₁  B1  C0₂)

 (A0₁  B0₂  C1)

 (A0₂  B1  C0₁)

 (A0₂  B0₁  C1)


 <当たり[確率1/3]のAを選び、司会者が1枚開いた後、残ったカードの組み合わせは>


 (A1  B0₁)

 (A1  B0₂)

 (A1  C0₂)

 (A1  C0₁)

 

<外れ[確率2/3]のAを選び、司会者が1枚開いた後、残ったカードの組み合わせは>


 (A0₁  B1)

 (A0₁  C1)

 (A0₂  B1)

 (A0₂  C1)

 

 組み合わせだけ見ると〝Aのままでも~~~~~~(Aを選んでも)あるいはA以外を選んでも~~~~~~~~、当たる確率は同じ[1/2]〟の様に見えます。

 この時に(司会者が1枚開いた後に)〝前者の組み合わせの一つとなっている確率が[1/3]〟で〝後者の一つとなっている確率が[2/3]〟です。

 要するに後者のほうが当たりやすい~~~~~~~~~~~~、という事になります。

 

 別の例で言い換えると、例えば30回繰り返した場合〝前者の可能性が10回〟〝後者の可能性が20回〟となります。 


 最終的に(結論的に)この時、当たる確率は〝Aを選んだ場合[1/3]〟〝A以外を選んだ場合[2/3]〟です。たとえ誰が選んだとしても、です。



♦再びモンティ・ホールショー


 話は元に戻りますが、3枚のカードA,B,Cのうち1枚に当たりがある場合、Aが当たる確率は[1/3]だと思うでしょう。しかし、これにも条件が必要です。

 正しくは〝ランダムな1枚に当たりがある場合〟としなければ[1/3]にはなりません。(ふつうは無意識にランダムであると想定しています)


 ランダムでなければ、Aの当たる確率(統計的確率は)[1/3]ではなく、[1~0]の範囲でかたよりがでる可能性があります。(A,B,Cの確率の合計は[1]でなければなりませんが)


 あなたが出た、モンティ・ホールショーの現実に戻ります。意図的であろうとなかろうと、前提条件として〝Aが当たりと設定されていた場合〟を考えてみましょう。


 あなたが当てるパターンは〝最初Aを選び、BかCへ変えなかった場合〟と〝最初にBかCを選び、Aへ変えた場合〟です。




 【1】<あなたが、Aから〝BかCへ変えたほうが得〟だと知らない~~~~場合>


 <最初にAを選びAのまま変えない>

 確率は[1/3(Aを選ぶ)× 1/2(Aのまま変えない)= 1/6]です。


 <あなたが、最初にBかCを選び、Aへ変える>

 確率は[2/3(BかCを選ぶ)× 1/2(Aへ変える)= 2/6]です。


 結果的に、あなたが当てる確率は[1/6 + 2/6 = 1/2]となります。

 (BかCを選んだ後の確率は[2/3]になりますが、選ぶ前は[1/2]という事です)



 【2】<あなたが、Aから〝BかCへ変えたほうが得〟だと知っていた~~~~~場合> 

 最初に、BかCを選ばなければ当たりません。

 その確率は、BかCを選ぶ確率[2/3]となります。



 【3】<もし(なぜか)あなたが〝Aに当たりがある〟と知っていた場合>

 当然、Aから変えないので、当たる確率は[1]です。




 あなたの知識(条件)が変われば、確率が変わります(立場、視点が変われば、確率が変わる…… やはり、見かけ上の確率が変わる事になるのか?)


 また、(統計的)確率の精度が上がるのは、何度も繰り返した場合です。

 シュミレーションでも100回とか1000回とか繰り返した結果、計算値に近づきます。


 確率が[1/2]の場合、毎回、確率通りの結果になるのは、当たりの金額が100万円だとして、例えば50万円とか確率に相当する金額に分割できる場合です。しかし現実には、そういう事はあり得ません。100万円か外れ(0円)です。


 (数学的確率に詳しくない私が、解説を書いているため、ますます解りずらくなったかもしれませんが……)


 あなたにとって、念願の(初めての)モンティ・ホールショーでは〝理論的確率〟に従っても、あまり意味がないとも言えます。(一度のチャレンジで、確率通りになるとは限りません)

 現実的には〝あなたの勘〟に従ったほうが正しい(後悔しない)のかもしれません。



♥後書き


 第1話に書いた、相対性理論、量子論との類似性は、フィクションと理解していただいた方が良いでしょう。

 ただ、やはり、量子論とは何らかの関連がある様な気がします。

 (第1話に書いた〝量子もつれ〟とカードの類似性の様に……)


 関連があるとしても、誰かが〝2枚~~1対~~のカード~~~~のうち1枚が当たり~~~~~~(もう1枚が外れ~~~~~)という原則〟を決めていなければなりません。誰かとは、神のような存在でしょうか?


 神であれば、事前にカードの裏を見る事が出来るでしょうし、量子の裏(からくり)も見る事が出来るかもしれません。

 

 人(観測者)はカードを開くまでは、そこに書かれている結果を確率的に知る事~~~~~~~しか出来ません。

 つまり、裏を見ない限り、最先端機器を使ったり、(例えば)わずかな重さの違い、振動特性の違い、赤外線による調査などを行ったとしても、確率的(間接的)にしか当たり外れを知る事~~~~~~~~~(予測する事)しか出来ません。


 量子も、このカードの様な存在ではないでしょうか?

 人間(観測者)は、カードの裏の様に、量子の存在も確率的に知る事~~~~~~~しか出来ないのかもしれません。

 


<アインシュタインと量子論>


 アインシュタインが〝神はサイコロを振らない〟と量子論(確率的で、あいまいな世界感)を批判した有名な言葉があります。


 神は、量子の裏側の真実を見る事~~~~~~~~~~~~が出来るでしょう。しかし人は、量子の裏側の真実を確率的に見る事~~~~~~~しか出来ません。

 量子は、実は〝量子論的な確率的存在〟ではなく、裏側(別の次元)に真実の姿を隠しているのかもしれません。


 時間軸も含めれば、人間は4次元空間に住んでいる事になります。しかし量子は11次元の存在だそうです。

 もし、3次元の物質を、2次元の住人が見たら、その形や面積~~~~~~動き~~振動~~常に変化している~~~~~~~~様に、見えるはずです。言い換えれば〝確率的〟にしか、その〝実在〟を観測できない、という事になるでしょう。


 量子が、人間には決して見ることのできない次元に、真実の姿を隠している可能性は十分考えられます。だとすれば、どんなに精密な観測機器を使っても、真実の姿を見る事が出来ないのは当然でしょう。

 量子論の原理として、量子~~物質~~が確率的な存在~~~~~~~だとしても、納得できます。(この考えは、量子論を理解する事に役立つかもしれません)


 サイコロを振っていたのは、神ではなく神によって~~~~~人間がサイコロを振らされていた~~~~~~~~~~~~~のかもしれないのです。

 (アインシュタインが、もし、これを知っていれば、自身の間違いを認める必要はなかったのかもしれません)




 もう一度、モンティ・ホールショーに戻ります。あなたに〝当たる確率が最も高くなる~~~~~~方法〟をお教えしましょう。

 まず十分に、統計的調査をしなければなりません。(確率を高めるためには努力が必要です)


 過去に、どのカードの当たりが多かったか、例えば過去1000回のうち、Aが400回、Bが350回、Cが250回とします。当たりの出る確率は[A:40%、B:35%、C:25%]になります。


 あなたが回答者としてショーに出るのが、金曜日だとします。金曜日の統計的な当たりの確率が[A:42%、B:32%、C:26%]とします。


 あなたが男性だとして、男性が回答者の場合、当たりの確率が[A:44%、B:33%、C:23%]とします。


 天気の違いなど、当日の天気と同じ日の確率が分かれば、それも調べます……


 並べて書くと、

 [A:40%、B:35%、C:25%]

 [A:42%、B:32%、C:26%]

 [A:41%、B:36%、C:23%]

 [……… ]

 この中から、一番低い確率を見ます。[C:23%]です。


 あなたは、最初にCを選びます~~~~~~。そして司会者は、AかBのカードを消します。すると消されずに残ったカードの確率~~~~~~~~~~~~~~は[41+36=77%]になります。

 ここであなたは、この残ったカードを選べば良いのです。


 消されずに残ったカードの確率は、あなたが最初に選ばなかったカードの~~~~~~~~~~確率の合計~~~~~になります。従って、あなたは最初に最も低い確率のカード~~~~~~~~~~を選び、その後に残ったカードを選び直せば良いのです。


 最初に最も確率の低いものを選ぶべきだったとは、面白いと思いませんか? 人生(運勢)の教訓も、これと同じかも知れません。



<運勢>


 人生はカードの様に単純ではありません。常に選択の連続です。しかし、もしも不運に見舞われた(ネガティブな状況におちいってしまった)としても、必ず別の選択肢があるはずです。

 ネガティブな時ほど、実はチャンスかもしれません(とてもそうは思えないでしょうが)チャレンジしなければ、人生が変わる可能性は低いでしょう。どんな小さな一歩でも、踏み出すことで、人生を好転できる確率が高くなるかもしれません。

 (あえて難しい道を選んだ方が、最終的な運勢は、むしろ上がるのかもしれませんし、もしかしたら、幸運をもたらす自分なりのルーチンがあるのかもしれません)


 しかし、むやみに(何回も)決断し直しても(懸けても)勝てるわけではありません。冷静に自分を見つめ、分析をするべきでしょう。天使の様なアドバイスを得られたとしても、その道が必ずしもベストとは限りません。

 

 あるいは、幸運(ポジテブ)な状態にいたとしても、それに気づいていない可能性もあります。天使の様なアドバイスが、実は悪魔のささやきになるかもしれません。


 直感を信じるべきかどうか、結局決めるのはあなたです。いずれにしても、人生は5分5分(良い事悪い事50%)という考え方もあるでしょう。どう思いますか。

 ただ、チャレンジしなければ、人生が変わる可能性は低いでしょう。どんな小さな一歩でも、踏み出すことで、人生を好転できる確率が高くなるかもしれません。



 <最後に>


 なるべく解りやすくなるように書いたつもりですが…… 内容として、まだ数学的な誤解や間違いがある可能性は、十分あり得ます。というか、たぶん間違いだらけでしょう。

 (数学、確率、物理学に詳しい方がいらっしゃいましたら、指摘していただければ、と思います)




(2025/05/16 アイス・A)

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

確率の相対論或いは量子論的な奇妙な振舞い アイス・アルジ @icevarge

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ