確率の相対論或いは量子論的な奇妙な振舞い

アイス・アルジ

第1話  確率の相対論或いは量子論的な奇妙な振舞い(仮説)

 確率に関する有名なミステリー(パラドックス)として〝モンティ・ホール問題〟が知られています。アメリカのTVショーが起源ですが、数学論争にもなった有名な問題です。


 御存じの方もいると思いますが、多少アレンジを加えて説明します。 

 …以下の文章では分数を、例えば2分の1は[1/2] 3分の2は[2/3]の様に表記します…




♦モンティ・ホール問題


 ここに3枚のカードA,B,Cがあります。この中の1枚が当たりです。

 あなたを回答者~~~~~~~とします「当たりがあると思うカードを1枚選んでください」


 あなたがカードAを選んだとします。

 Aが当たる確率は[1/3]です。(同様に、BもCも当たる確率は[1/3]です)


 次に当たりを知っている司会者~~~~~~~~~~~~が、残ったB、Cのうち、外れの1枚を開きます。

 (司会者は、必ず外れの1枚を開くことが出来ます。もしAが当たりだとすれば、B,Cは外れになり。Aが外れだとしても、B、Cのどちらかが外れになります。)


 例えば、Cが外れとして開かれ選択肢から消されたとすると、AかBのどちらかに当たりがある事になります。


 ここで司会者が「選んだカードを変えることが出来ます」と告げます。

 あなたは、当たりと思うカードを〝最初に選んだカードA〟から〝もう一方のカードB〟へ変更することが出来ます。


 さて「あなたは変更しますか?」(どちらが得ですか?)


 今、目の前にはAとBの2枚のカードが残っています。このうち1枚が当たりなので、AもBも当たる確率は[1/2]だと思うでしょう。

 Bへ変更しても良いですが、当たる確率は変わらないように思えるでしょう。


 ここで、どちらが得~~~~~~かお教えしましょう。実は、Bへ変えたほうが当たる確率が高くなります。これは数学的に証明されている本当の事です。


 Aが当たる確率は[1/3] Bが当たる確率は[2/3]になります。(パソコンによるシュミレーションでも確認されている事実です)

 

 なぜか?(数学者も間違えたというい逸話がありますが) 数式による説明は(詳しい数学的知識がないので)割愛させていただきますが、以下でもう少し再説明します。


 100枚のカードの中に1枚の当たりがある場合を考えれば、直感的に理解できます。



♠説明


 100枚の中から、当たりを予想して1枚を選んだとします。当たる確率は[1/100]です。(外れる確率が[99/100]ほとんど外れる、と思うでしょう)


 ここで当たりを知っている司会者~~~~~~~~~~~~が、98枚の外れのカードを開いたとします。最初に選んだ1枚と、残された1枚、どちらの当たる確率が高いと思いますか?


 この時点では、2枚のカードのうち1枚が当たりです。

どちらも、当たる確率は[1/2]でしょうか?(最初のカードの当たる確率が[1/100]から[1/2]へ高くなった、とは思えません)

 直感的に、残されたカードの方が~~~~~~~~~~当たる確率はかなり高い~~~~~~~~~~~と思うはずです。


 この様な(条件付き確率)の場合、残されたカードが当たる確率は、数学(確率論)的には[99/100]になります。(2枚のカードの確率の合計が「1]にならなければならないからです)


 単純な確率と〝条件付き確率〟では、確率の計算結果が変わります。説明は割愛しますが当たりを知っている司会者~~~~~~~~~~~~、というのが前提条件のポイントになります。


 司会者は当たりを知っているからこそ、簡単に外れの98枚のカードを開くことが出来ます。(確率で言うと[1] 100% 外れの98枚のカードを開くことが出来ます)


 当たりを知らない司会者~~~~~~~~~~が、外れの98枚のカードを開くことは、確率的にほとんどあり得ません(確率で言うと「1/99」)。

 もし、そんなあり得そうもない事が起こった場合、最初に選んだカードが~~~~~~~~~当たっている確率は~~~~~~~~~かなり高い~~~~~と思うでしょう。


 この条件(当たりを知らない司会者)の場合最初のカードも残ったカードも~~~~~~~~~~~~~~、当たる確率は[1/2]になります。(2枚のカードのうち1枚が当たるという、単純な条件と同じです)


 モンティ・ホール問題の説明はこれで終わりです。文章だけで理解するのは、難しいかもしれません。

 ネットには多くの動画解説がありますので、そちらを見ていただければと思います。



♥新たな謎


 この説明で、私も一度は納得したのですが、実は、〝不思議な続き〟を想定することが出来ます。


 あなたが、AからBへ変更しようと考えていたところ、突然目眩めまいを感じ、記憶喪失におちいってしまったとします。

 気が付くと最近の記憶がなくなり、何をしていたか思い出せません。(モンティ・ホールショーに参加している事は覚えていますが)


 司会者が大丈夫ですかと言い「A、Bどちらにしますか」と訊きます。

 あなたは最初に、Aを選んでいたのかBを選んでいたのか思い出せません。

 この状態でも〝Aの確率が[1/3]〟で〝Bの確率が[2/3]〟でしょうか?


 あなたは〝条件付き確率〟の前提条件(これまでの出来事)を覚えていません。これは、前提条件がなかったのと同じではないでしょうか?

 この状態では〝AもBも当たる確率は[1/2]〟が、正しい様に思えます。


 理屈っぽくなってしまいましたが、繰り返すと、記憶喪失によって、あなたの前提条件が変わってしまったと思われます。


 先ほどの出来事の後、2枚のカードには何もされていません~~~~~~~~~何も物理的変化がない~~~~~~~~~~のに、なぜカードの確率が変わったのでしょうか? 

 謎は深まってしまいました。


 もはや、あなたはAを選んでもBを選んでも、当たる確率は同じです。でも、どうして? 

 目眩めまいがする前は、Bを選んだ方が当たる確率が高くなっていたはずです? (記憶が変わるだけで、確率が変わるのでしょうか?)

 なにか、騙されている気がしませんか?


 私には、この結果を、どう解釈すべきか理解できません。しかし、どこか相対性理論に似ていると感じます。



♣相対論 


  相対性理論によると、観察者のいる場所(条件)の違いによって、時間の流れが違って見えるそうです。

 モンティ・ホール問題も、観察者のいる場所(条件)によって確率が違って見えるのではないのかと……


 モンティ・ホールショーに戻りましょう。記憶を失ったあなた~~~~~~~~~にとって〝AもBも当たる確立は[1/2]〟に変わってしまったとしても、観客にとっては〝Aの当たる確率は[1/3]〟〝Bの当たる確率は[2/3]〟のままです。


 やはり観察者の条件(いる場所)の違いによって確率が違って見えるのです。これを読んでいる読者(記憶を失っていないあなた)にとっても〝Aの当たる確率は[1/3]〟〝Bの当たる確率は[2/3]〟のままです。

 

 あなた(観察者)の記憶(経験、意識)によって〝見かけ上の確率〟が変わる可能性があるのかもしれません。まさに、相対性理論に近い発想です。

 先ほどの例も、実は、見かけ上の確率が変わっただけで、カード自体が持っている確率は変わらないのでは?



♥量子論


 あなたは、カードを開いた瞬間に、当たりか外れ[1か0]を知る事になります。

 これは〝シュレディンガーの猫〟のパラドックスに似ています。

 カードを開く前から、当たりか外れが決定~~~~~~~~~~~~~~していたのか? カードを開いた瞬間に、当たりか外れが決定~~~~~~~~~~~~~~~したのか?


 量子論によると、シュレディンガーの猫は扉を開いた瞬間に~~~~~~~~生きているか~~~~~~死んでいるか決定~~~~~~~~します。扉を開く前は〝生きた猫と死んだ猫の共存(重ね合わせ)の状態〟が正しいそうです。


 モンティ・ホールショーのカードの場合、カードを開いた瞬間に当たりか外れが確定するのでしょうか? 

 司会者は当たりか外れを知っています。従ってカードの当たり外れは、はじめから決まっていた事になります。やはり量子論とは違うようです。 


 しかし、量子論にまつわる、もう一つの謎(パラドックス)〝量子もつれ〟をも、想起させます。


 量子は、スピンという特性を持っています。スピンには右と左の区別~~~~~~~~~~~がありますが、観測しなければ、右スピンか左スピンか分かりません。


 量子もつれ状態にある1対の量子は〝1方が右スピン~~~~~~~であれば、必ずもう1方は左スピン~~~~~~~~~である〟という法則を持っています。

 観測するまでは、右スピンと左スピンが~~~~~~~~~~重ね合わされている状態~~~~~~~~~~~です。

 シュレディンガーの猫の様に、観測した瞬間に、どちらかに決まります。たとえどんなに離れていたとしてもです。


 量子もつれを通信に利用すれば、どんなに離れていても(地球と火星でも)瞬時に通信できる可能性があります。


 量子もつれの振舞いと、カードの当たり外れの振舞は、一見よく似ています。

 2枚のカードの1枚が当たる場合、どんなに離れていても〝1方のカードが当たり~~~~~~~~~~であれば、必ずもう1方のカードは外れ~~~~~~~~~~~〟になります。


 モンティ・ホール問題の根底は、相対性理論だけでなく、量子論にも関連があるのでしょうか?(私の理解を超えています)



♠拡大解釈およびパラレルワールド


 カードの当たり外れが〝量子的存在〟であれば[当たりと外れ、1と0]の振動状態(重ね合わせ)と仮定する事も出来ます。

 まるで振動しているかの様に、一定時間内に[1と0]が同じだけ現れれば確率が[1/2]となり、[1より0]が2倍多ければ[1/3]となるように…… この振動の変化が、経験や観察者の意識と関連しているとか……


 繰り返すと、あなたは目の前のカードがどの様な経過(経験)を経てきたか、それを知っている~~~~~知っていない~~~~~~かによって、確率(振動)が変わるのかもしれません。


 言い換えると、あなたの考え方~~~(意識)の違いにより~~~~~~結果が変わる~~~~~~可能性を示しているように思えます。

 カルトのようですが、意識を変えれば、運の悪い人が、自分の運気を好転できる可能性があるという事でしょうか?


 あるいは、カード自体に過去の記憶が残り、確率(振動)を変えているのでしょうか? 

 物質に記憶が残る~~~~~~~~~という考えもカルト的ですが、心理的には、納得できる気もします。(自分が大切に持っている物には、過去の記憶が宿っている様な気がするものです)


 客観的に見ると、あなたがカードを選び、当たっているかどうか、結果を確認した、まさにその時〝あなたが目にする結果と、観客が目にする結果〟が違う、という可能性がある事を示しているようにも思えます。

 何しろ〝あなたにとっての確率と、観客にとっての確率〟に違いがあるのですから、必ず同じ結果になるとは限りません。


 これは、パラレルワールドの存在を示している様な気もします。パラレルワールドは、(いがいにも)あなたの身近に存在しているのかもしれません。

 あなたが何かを決断するたびに、別の未来(新たなパラレルワールド)へ踏み込んでいるのかもしれません。運命論の様に、未来は確定されてはいないのです。


 人生は、選択(決断)の結果と言えるでしょう。偶然と思える事も、選択によって生まれた(確率が高くなった)出来事かもしれません。

 新たな選択が、あなたの運気を上昇させるかもしれないのです。現状がどんな悲惨な状況でも、あきらめる必要はありません。




 <お詫び……>


 ここまで読んでいただきありがとうございます。うんざりした、という方もいらっしゃるかと思いますが、個人的には楽しく書く事が出来ました。


 ここにきて、大変恐縮ではありますが…… 実は、再考を繰り返した結果、内容の一部に〝明らかな間違い〟がある事に気づきました。

 第1話を修正すると、せっかくまとめる事ができた内容が……

 (意図的ではありませんが、半分はフィクションと考えていただいてもかまいません) 


 しかし、このままでは申し訳ないので、第2話で追加説明(修正)させていただこうと思います。

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