波形に辿る

佐藤陽南

波形に辿る

旅立ちはいつも不確か 一語ずつずれてく未来の風を浴びつつ


花曇り裂いてくための剣を研ぐ ちぎった花びらの数だけかなしい


イメージの海はひらかれ綴じられて貝殻に掬った満ち引きのエコー


遠くから聞こえる太鼓にわれわれは揺らぎの文節を探りたがった


土々地々のビートに重ねて刻むステップ 石に躓き拍は揃った


上を向いて歩いたらまた転ぶでしょう(手を繋いだら危ないシーンへ)


ゆりかごの漂着先には光る孤島 葬列には数名の亡霊がみえる


息吹かれて口腔のvoid …目を慣らしたらやがて現れる滑走路


なきまねをしてみせる 視線のスイングに上手な喉の震わし方で


あなたの声が意味に変換されるまで、私は花の気持ちが分かる

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

波形に辿る 佐藤陽南 @2e4b71

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

参加中のコンテスト・自主企画