名も無き山も名の有る山も。登山入門に最適な体感小説
- ★★★ Excellent!!!
登山に興味のなかった運送屋のおっさん、柿木次郎が何の因果か登山ツアーに参加することに。
ただただ、しんどくして、もう二度とすることはない。そう思ったものの、いつしか登山の深淵、あるいはその楽しさに魅入られていく。
やたらとキャラの濃い仲間たちが集い、バラエティ豊かな山々に挑戦していくその様は楽しいの一言。仲間たちの群像劇が展開していくと、今度は柿木次郎の特異性が露わになっていくのも見所だろう。
登山入門に相応しい手引書であり、山の楽しさを封じ込めたドキュメンタリーでもある、ヒューマンドラマの快作。