ゾンビの溢れる週末世界で日本の年中行事を敢行するシリーズ。
〝ヒナマツリ・オブ・ザ・デッド!〟
に続く第二弾。
〝コドモノヒ・オブ・ザ・デッド!〟
作者の溢れる何かしらの情熱により綴られるシリーズ。
週末世界で紆余曲折あり死にそうになりながらも執り行われる年中行事。
そんなお祭り感溢れる物語です。
本作もまた様々な個性溢れるキャラクターが登場します。
一見して面白。笑いも誘います。
ただその物語の筆致は、確かです。
アクションシーンの描写は、読む者にくっきりとした映像を想起させる絶妙な空間描写には、胸躍ることでしょう。
そして、常に生死の際にいる人々の別れの場面には、涙を誘われることでしょう。
人は社会的動物です。
社会は結束と継承により維持されます。
それを端的に表すのが、祭り。
黙示録的な終末世界に抗うのは人の祭りなのだ。
この物語は、そう教えてくれます。
皆様もぜひ、この物語のなかで苦境に負けない人々に接してください。
元気をたくさんもらえます。
そして、きっと楽しい時間を過ごせます。お勧めします。
読了したので書きます。
ストーリーはあらすじにお願いします。
紹介に書いたように、大事なことは続けること。それを言い表すのならば、伝えることに終始するのだと本作を読んで改めて思いました。キーワードとして登場する子どもの日(端午の節句)という伝統もまたこれに当てはまるでしょう。
冷静に考えれば、噛まれればゾンビになってしまうゾンビが跳梁跋扈している世界で子どもの日(端午の節句)の伝統を慣行している余裕はありません。いつ、自分の領域に未知の恐怖がやって来るは分かりません。
しかし、子どもの日が何のために存在しているのかを考えてみればこれもまた自ずと答えが見えてきます。ネタバレに繋がりかねないのでここでは書けませんが、これは最後まで見届けていただきたいところです!
次回作の『タナバタ・オブ・ザ・デッド!』も楽しみです!!
おっと、その前に「ヒナマツリ」がありました。すみません。
舞台はお馴染み、ゾンビの出現により文明が崩壊し、生き残った人々がアンデッドの恐怖と人間同士の抗争に怯えながら暮らす世界。
ある老夫婦の孫娘、桃香は祖父母からGWの話を聞き、子供の日という存在しない祝祭に目を輝かせる。しかし、そのことが契機となり、桃香は行方不明となり、アンデッドの徘徊する世界を老夫婦と桃香の母、それに子供たちは追跡行に出ることになり……。
誰もが待ち望むGWと子供の日を舞台にしながらも、描かれるのはゾンビものの王道である。アンデッドとの息もつかせぬ大立ち回り。アンデッドをよそに繰り広げる軍隊と宗教団体の争い。そして、心を取り戻すかのようなアンデッドの姿によって起きるのは希望か絶望か――。
ゾンビ映画の魅力的なエッセンスを詰め込みながらも、子供時代に子供の日に感じたワクワク感と恐怖を同時に味わう異色のパンデミックパニックホラー。