側面のかがやきを
- ★★★ Excellent!!!
『天井の木目が人工だったこと手書き風フォントで喋る』
自然なものであってほしい木目が人工。文字であってほしい手書き風ファントで喋る。木目をわざわざ付け足すことや手書きなのに狂いのない整えられたフォントである点など、本来の木目や手書きの良さ、人工やフォントの良さをそれぞれが互いに打ち消しあってしまっていることへの残念さや滑稽さを皮肉めいているように感じる。
しかし、通して読んだ時に感じる「喋る」の後ろの字足らずによって生み出された空白感に注目すると、途端にスッキリとした印象を感じるようになる。皮肉さよりも残念さに近い喪失感が強調され、シリアスで寂しい読み味に思える。
また、手書き風フォントで喋るとはどのようなことを指しているのか。
どんな手書き風フォントをイメージするかにもよるが、私が一番最初に思いついたのはギャルたちの口調であった。彼女たちの独特な言葉遣いと口調は手書き風フォントみたいだと思う。ただ、作り出された人工感とは遠いものであるので、もう少し機械的なもの。
人工知能らが使い話す言葉が「手書き風フォントで喋る」にあたるのではないかと考えた。
逆の関係性の言葉たちに、誘われるようにして歌の世界へ侵入することができる魅力的な歌でした。
素晴らしい作品をありがとうございました。