密室殺人のトリックを考えるのがこんなに難しいなんて……

いきなり密室殺人の現場から始まった……と思ったら、実はテレビ番組「推理スペシャル」の制作現場を舞台にした、ミステリーの要素を織り交ぜたドタバタコメディである。

主人公であるプロデューサーの水柄辰也は、事故で入院した本来のプロデューサーの代わりでやってきたので推理ドラマについては素人同然、脚本家はこだわりすぎてぎりぎりになってもストーリーを書かない上に、ストレスで入院する始末。

冒頭の密室殺人のシーン撮影だけができており、あとはトリックを考えて番組を作らなければならないが、水柄も監督の中川徳雄も大ピンチ!

水柄は、とにかくなんでもいいから密室トリックを、と考えつくものがことごとくトリックにならなくて面白い。

薬のカプセルの中身を取り換えるだけの地味殺人事件や、実は自殺だったことにして「殺人事件ではなかった」ことにするなどなど、思いついては採用できないような内容がどんどん出て来るところが最高に笑ってしまう。

はてさて、タイトル通り「密室殺人できるかな」と読む方は心配になりつつもニヤリ、となる作品である。

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