巨乳転生 〜今度こそ告白成功させる〜

スクレ

第1話

 私の名前は大木恭子。おっぱいが大きいこと以外はごく普通の女子高生だ。でも実は、私には誰にも言えない秘密がある。


 それは、私が転生者だということ!


 生前の最後の記憶は思い出すのも辛い、あの告白の日。当時の私は高校三年生でクラスのある男子に淡い恋心を抱いていた。


 彼とは高校に入学してからの友人だった。卒業が近づいてきて、焦った私は勇気を出して彼を誰もいない教室に誘い出した。そして緊張した私は、小さいけど何とか聞こえる声で思いを伝えた。そして彼は⋯⋯。


「ごめん。気持ちは嬉しいけどお前のことはその、親友としてしか見れないっつーか。実は俺、巨乳の子がタイプなんだ、ごめん!」


 ⋯⋯はぁぁぁぁあっ!!?巨乳だとぉぉ!?


 そう当時の私はまな板とも呼べるべき貧乳。別にそれを悲しいと思ったことはなかった。運動が好きな私はむしろ動きやすいと思ってたし、一般的な巨乳女性の悩みについても大変だな〜と、特に嫉妬に駆られることもなかった。


 今日、この日までは⋯⋯


 彼の発言がトドメとなった私は、悔しさと涙をこらえきれず教室を飛び出した。目の前も周りの景色も見ず一心不乱に、そして脇目も振らず家まで走っていた。その最中に私の身体の横からとてつもない衝撃が叩きつけられて⋯⋯。


 そうして気づけば新たな人生を獲得していた。そう、巨乳の女の子として!生前は特に憧れることもなかった巨乳だが、最初はデメリットばかりに気を取られてた。


 巨乳の人がよく言う肩こり、あれが本当に重くて肩からダンベル吊り下げてんのかいっ、ていうくらいに最初は落ち着かなかった。


 スポーツ大好きだった私だが、その特盛りの重りのハンデに思うように動けず、体育の授業では激しく動く度に胸が重力と遠心力で引きちぎれそうな思いをした。


 おまけに足元も見えづらくて慣れない頃はつまづきがちだったり、犬の糞を踏んじゃったりしたこともあって巨乳ってやっぱ不便だな〜って思ってた。


 でも慣れてくると、それまで見えてなかったメリットにも意識が向いてくる。


 まずとにかく男子にめっちゃ優しくされる。私の性格もあると思うけど、男子に頼みごとをすると二つ返事で引き受けてくれるし、ただ授業の質問してるだけなのに先生からの好感度もやたら高い気がする。


 それにこの前なんか街中を歩いているとスカウトに声をかけられ、気がつけばモデルデビューしちゃってた。そのおかげで校内でちょっとした有名人になって、さらに男子から優しくされ女子からは尊敬の目で見られたりと、私は時間とともに巨乳の魔力にズブズブになっていった。


 そんな私だが今世でも好きな人ができた。名前は〈早川〉君。どことなく前世で好きになった彼と似てなくもないような気がする。


 前世での辛い最期を思い出して泣きそうになることもあった私。だが、今は巨乳という最強の武器を手に入れて自己肯定感MAX!


 卒業間近まで先延ばしにするなんてこともなく、されど関係性がない状態で告白しても勝算は薄い。だからこそしっかりと友人として1年以上の良好な関係を築き、満を持しての高校2年生の夏休み前日の教室。


 巨乳になってから猫背気味になってしまった私だが、今だけは背筋を伸ばし胸を張って早川君を見る。だってこの姿勢の方が胸が強調されて、告白の成功率が上がるかもしれないから。


「早川君、好きです。私と付き合ってください!」


 自己肯定感MAXな私は、あの時と違い今度ははっきりと聞こえるよう告白した。そして⋯⋯。


「ごめん。気持ちは嬉しいけど恭子ちゃんのことはその、親友としてしか見れないっていうか。実は俺、貧乳の子がタイプなんだ、ホントごめん!」


 ⋯⋯はぁぁぁぁあ!?今度は貧乳ぅぅぅう!!?


 二度目の悲しみと悔しさを味わった私は、あの時と同じように一心不乱に教室を飛び出し、ということはせず歩いて教室を出た。走ると胸が引きちぎれそうに痛いから。


 ⋯⋯神様、生まれ変わったら今度はまた貧乳の女の子でお願いします。

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