ぼくの夏休み

海月うに

いい夏でした

学校を ばびゅんと飛び出し 一目散

 もうすぐぼくは 自由になるんだ

 

ランドセル 部屋のすみっこに 転がして

 お前も今日で お役目ごめん


ガリガリと ノートに書きつけた 計画書

 なんだか大人の 仲間入りみたい


月曜日 ドアの開く音 閉まる音

 布団の中で くひひと笑う


もう八月? 麦茶の氷 からんころん

 そろそろやらなきゃ 覚悟を決める


久しぶり 朝の6時に 起き上がる

 んーっと伸びをし くあっとあくび


目をつむり 思い切って 棒を振る

 赤い飛沫と 響く笑い声


黄昏の 静かな家を ぼーっと見渡す

 そういえば今日 何曜日だっけ?

 

ばぁちゃんの ぎゅうってぼくを 抱きしめる

 しわしわの腕に なされるがまま
















「弁明は?」 裁判官の その問いに

  僕は笑って 「いい夏でした」と

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ぼくの夏休み 海月うに @Umitsuki_Uni

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

参加中のコンテスト・自主企画