第5話

帰り道、僕は自転車を押して歩いた。暑かったけど、ペダルを漕ぐ気になれなかった。


公園のベンチに座った。噴水が単調な音を立てていた。水は同じところをぐるぐると回っているだけだった。どこにも行かない水だ。


僕は山崎さんの言葉を思い出していた。ダイヤモンドみたいな島。嘘をつけない兵士。朝のコーヒー。


ポケットから携帯を取り出した。友達からLINEが来ていた。「宿題終わった?」「まだ」と僕は返した。嘘だった。簡単な嘘だった。

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