第4話

「戦争が終わったとき、何を思いましたか」


僕はそう聞いた。定番の質問だった。教師が用意したリストにも載っていた。

山崎さんは少し考えてから答えた。


「何も思わなかった。ただ、朝のコーヒーが飲みたいと思った。それだけだ」


僕は驚いた。もっと劇的な答えを期待していたのかもしれない。


「君は人生に意味があると思うかい」


山崎さんは突然そう聞いてきた。僕は答えられなかった。十四歳の僕に、そんな質問は重すぎた。


「私はね」山崎さんは続けた。「意味なんてないと思っている。でも、意味を探すことには意味がある。矛盾しているようだけど、そういうものだ」

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