諦めのような悲しさとそれでも遠慮するような欲求。愛という空気を与えられず、水中をもがくような短歌たち。日常の中でフラッシュバックする過去をどこか他人事のように見つめている。花が咲かないのは、美しいものが信じられないためなのか。
自己否定感を短歌に昇華して、なんとか生きようとしている懸命さが、切実に伝わってきます。ニヒリズムと喪失感を融合したような作品ですが、ときどき垣間見える美しい牙に、突き刺される感じがしました。愛されてきた人間のエゴのまま崩される黄身のようなふるえこの歌では、下の句の比喩が卓抜で、思わず心を打たれました。失われた愛を求めて彷徨う短歌集。
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