カクヨム短歌賞　10連短歌

熱帯夜　ぼくの静寂　破られて　眠れるところ　クーラーの下

雷が　ライフスタイル　止めていく　氷はただ　虚しく溶ける

箱叩く　飢えた獣は　涼求め　その冷風機は　がらんどう

ぼくの中　だんだん熱く　湧き上がる　溜まる不快は　まるで炭みたい

こんなにも　世界は厚い　なぜなんだ　逃げられる家も　夜風もないのに

眠れない　何かが蝕む　気持ち悪い　生き返るまで　このままなのか

なぜ奪う　ぼくは何も　していないのに　こんな煉獄を　進めというのか

重い息　お風呂に入る　心地がいい　家のシャワーは　いつもどおりだ

空気来る　ひんやりとした　故郷だ　　今夜は少し　眠れるかもな

生き返る　ネットで調べる　暑い夜　冷たい魔法と　ひと時の別れ

熱帯夜　それでも人は　止められない　眠れない夜　指数関数